「認知症=忘れる」だけじゃない 多くの症状を理解して築く新たな関係
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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あなたがあなただと、
認知症になっても私はわかっている。
あなたの優しさ、温かみ。
まさか私が忘れたとでも?

ただ、ちょっと迷う時があるのよ。
あなたの笑顔が
今まで私が出会った人たちの
笑顔まで連れてくるから。

あなたの笑顔が、運んでくれるもの。
それは、私の幸せ。
…たくさん、たくさん。
認知症=忘れる
…という単一のイメージは強烈に、
私たちに染み付いています。
けれど認知症の症状は多様で、なかには
「人の顔を判別しづらくなる」
というものもあります。
それは、「忘れる」とは、異なることです。
なので、例えば
認知症がある人に、間違えて名前を呼ばれた時
「私のことを、忘れちゃったのね」
と、すぐに結びつけることは、早合点かもしれません。
けれど、人によっては
「顔の判別ができなくなったら、それはもう忘れるということではないか」
というご意見もあるでしょう。
が、そこに
思考停止の危険はないでしょうか。
もうわかりあえないから、
との、あきらめからくる思考停止は、
お互いに辛いものです。
だからこそ
「忘れる」という単一のイメージから離れ、
多様な症状を知ること。
それは、私たちに
ひとりを理解する、
手がかりを増やしてくれます。
認知症が運んでくる、
新たな関係性は
必ずや、あるはずなのだから。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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