みなさんのリアルな声を集める新企画 親の運転免許返納アンケート結果
なかまぁる編集部
高齢になった親に「運転免許を返納してもらいたい」と思っている人の中でも、6割弱の人が親と話し合いができていない――。新企画「どうしていますか?」の第一弾として、なかまぁる編集部が行った「親の運転免許返納に関するアンケート」の回答からは、衰えが感じられる親に心配を募らせながらも、なかなか免許返納について話を切り出せていない実態が浮き彫りになりました。アンケートは10月15日~11月1日に実施し、182人の方から回答をいただきました。免許返納の障壁となる要因などについても声が寄せられました。アンケートの結果をご報告します。
「高齢になった親に運転免許を返納してもらいたいと思いますか?」という質問に対しては、「すでに返納している」という回答が47%でした。「1年以内に返納してもらいたい」が10%、「5年以内に」が12%で、計20%超の人が差し迫った課題として親の免許返納をとらえていることが分かりました。「10年以内に」は4%、「いずれは返納」は20%、「返納する必要はない」は7%でした。
親と話し合いをしても「車がないと困る」と拒否
「返納してもらいたい」(「1年以内」から「いずれは」までを合わせたもの)と回答した人に「親と話し合いをしたことがありますか?」と尋ねると、「ある」と答えたのは42%にとどまり、58%は「ない」との回答でした。
話し合いをした人は、どのような話をし、親はどのような反応だったのでしょうか?
「安全面を考えて返納したら?と伝えてはいるんですが、まだ大丈夫、車の機能が良いからね。と言われました」「父親が緑内障を発症し、返納を提案しましたが、田舎で車がないと困るという理由で拒否されました。それ以降話し合いはしていません」など、なかなかすぐには結論が出ていないようです。
一方、「すでに返納をしている」と答えた人に親との話し合いの有無を質問したところ、73%が「ある」と答え、「ない」は27%でした。ただ、最終的に返納に至った人でも、当初は家族が返納を提案しても「『大丈夫!』と聞く耳をもたれなかった」などと説得には苦労したとの声が複数ありました。そうした中、「凄惨(せいさん)な事故のニュースの後などに家族の返納の希望を伝えて納得してもらえた」という意見もありました
返納後の移動手段の確保にあの手この手
「返納後の親の移動手段の確保」については、自由に記入してもらいました。公共交通機関の活用のほか、「週に1回 兄弟で交代に実家に行き買い物等の手伝いをしています」というように家族や近所の人による送迎で補っている事例が多くありました。親と離れて住んでいる人の中には、タクシーに頼るしかなく「金銭的なサポートをするしかなかった」という声もありました。一方、都心部では「自宅を売却して、最寄り駅に隣接するマンションに引っ越したのと同時に免許を返納した」という事例もあり、「シルバーパスを駆使して楽しく出歩いている。生活圏を変えずに、住まいをスケールダウンし、自家用車から公共交通機関利用に切替えできたのは大成功だと思っております」との意見が寄せられました。
求められる生活に必要な移動の確保
「免許返納の障壁となる要因は何だと思いますか?」と複数回答で尋ねたところ、最多は「生活に必要な移動ができなくなること」(回答数150)でした。「移動に関する公的な支援制度が不十分であること」(109)、「親の楽しみを奪うことになること」(92)、「親のプライド」(84)、「仕事ができなくなること」(39)などが続きました。「特に障壁はなかった」はごく少数(2)でした。生活に必要な移動を確実に確保できるようにするための公的な支援の充実が求められているといえるでしょう。
「免許返納をしてもらいたいと思う親の年齢はいくつですか?」という問いに対しては、「75~84歳」が最も多く、58%を占めました。より年齢が上の85~95歳が23%、95歳が3%でした。一方で、65~74歳は13%でした。
「免許返納をしてもらいたいと思う親が住んでいる都市の規模」については、「人口20万人以上」(27%)、「(政令)指定都市・23区」(24%)、「人口20万人以上」(18%)、「人口10~20万人未満」(17%)、「人口2万人未満」(9%)との結果でした。