仲間と一緒に輝き続ける

憩いの場のベンチの補修

「こちら向いて下さ〜い!」なかまぁるは、それぞれの「私」が、自分らしく生き続けていくための情報をお届けします。この連載は、東京都八王子市のデイサービスで、認知症当事者スタッフとして働く、さとうみきさんが綴るエッセイです
「こちら向いて下さ〜い!」

こんにちは、さとうみきです。
日差しが朝から照りつける八王子市。
ある日の活動の中には、DAYS BLG! はちおうじ(以下、BLG! はちおうじ)の庭先にあるベンチの補修、色塗りがありました。

このベンチは、BLG! はちおうじの駄菓子屋さんに買い物にきた子供たちとメンバーさんの憩いの場でもあります。

色あせ、2本の接ぎ木が腐食。これから作業!
色あせ、2本の接ぎ木が腐食。これから作業!

メンバーさんは職人そろいです。
午前中は最高年齢88歳のみねおさんが、
傷んだベンチの2本の接ぎ木を交換。
新しい木材から寸法を測り、ノコギリを慣れた手つきで切り落としていきます。

あっという間に、全ての作業をこなす姿は、まさに職人さん!
しかも、みねおさんのかつてのお仕事は、職人とは全く違うものだったということですから、すごいものです。

手際よく、木材を測り切ります!
手際よく、木材を測り切ります!

そして、みねおさんから、室内で靴べら作成をしているくぼきさんに
「おーい、定規を探してくれー」との要望。

「これでいいですか?」とくぼきさんが小さな定規をみねおさんに手渡します。
「もっと頑丈なのがあったんじゃないかなぁ」とみねおさん。

わたしも室内へ入り、くぼきさんと一緒に丈夫な定規を探します。
「確か、いつもここに定規が刺さっていたんだよなぁ」
「でもないですねー。」

2人で物入れクローゼットに頭を突っ込んで探していると
「あったー!」
と、声をあげた途端に、2人で頭をゴツン。

「大丈夫ですか? ごめんなさい」
「大丈夫! これで少しは認知症が治ったか?」
お互いに笑い合いながら、外で作業するみねおさんに定規を届けます。
午前中の間に、ベンチは見事な姿になり、補修は無事に完了!

午前中にみねおさんお一人でここまで綺麗に補修作業終了!
午前中にみねおさんお一人でここまで綺麗に補修作業終了!

午後の活動を決めるミーティングで、
みねおさんが、色塗りをすると手をあげました。
もう1人の職人、しらはまさんはハンダゴテを使っての名札作りの支度をしていたのですが…

みねおさんが「おーい、今日中に終わらせないと、来週は生きているか分からないから手伝ってくれー」と、しらはまさんに呼びかけます。
すると、「それは大変ですから、僕もやります!」と、
しらはまさんが急いで駆けつけ、みんなから笑いが起こりました。

色塗りを進めていくと、かがむのが辛いと…さて、どうしようと悩むわたし
色塗りを進めていくと、かがむのが辛いと…さて、どうしようと悩むわたし
 庭先にあった、他のベンチの上にシートと修理中のベンチをのせると、「これはいい!」と師匠からお褒めの言葉
庭先にあった、他のベンチの上にシートと修理中のベンチをのせると、「これはいい!」と師匠からお褒めの言葉

「色は今ある在庫のペンキを使いましょう!」
と、わたしが提案。
残量が多い順にペンキを並べました。

作業をするその姿は、まるで師匠と弟子。
みねお師匠の的確な指示にわたしとしらはまさんは、
なるほど!と納得しながら作業を進めました。

わたしは「今日中に終わるかな?」と心配しながらも、
途中途中で水分補給の声かけをしながら、様子を見ていました。

出来上がったのは、黄色と緑のツートンのベンチ。
きれいなタンポポのようです

出来上がりのベンチは「タンポポ」カラー
出来上がりのベンチは「タンポポ」カラー

そこからもすごかった!
ペンキの容器の片付けから木くずなどの掃除まで、みねおさんとしらはまさんの2人で手分けして、あっという間に片付けてしまいました。
仕事が早い!

メンバーさん同士、出来ること、やりたいこと、
そして、それぞれに役割があるということが大切です。
自分たちが使うベンチの補修も、BLG! はちおうじらしく、
メンバーさん自身が行い、色塗りも自分たちの好きな色に塗り替えました。

お二人で工夫しながら、作業を進める姿
お二人で工夫しながら、作業を進める姿

色鮮やかになり、命を吹き返したベンチは、
メンバーさんと子どもたちとの大切な憩いの場所でもあります。
今はコロナ禍で、駄菓子を買いにくる子どもも少ないのですが……。

これからメンバーさんと子どもたちが、このベンチで、
どんな時間をともにするのかと想像すると
なんだかとても優しく、穏やかでホッコリとした気持ちになりました。

花壇の花々も咲き誇り、コロナ禍が収束し
みんなが集える当たり前の光景、日常が早く戻ってくることを願っています。

花壇のお花もきれいに咲いています
花壇のお花もきれいに咲いています

この原稿を書くに当たり、メンバーさんのお顔は思い出せるものの、
お名前が思い出せないこともありました。
そんな時は、BLG! はちおうじのスタッフに聞きながら、原稿を書きました。
思い出せないことを素直に聞くことができる環境であることをとてもありがたく感じています。

ここで、メンバーさんとともに時間を過ごすことになります!
ここで、メンバーさんとともに時間を過ごすことになります!

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