心の声に、そっと…
こんにちは。
若年性認知症当事者のさとうみきです。
今回は、梅雨が少しずつ近づいていることを感じさせられる冷たい雨が降ったりやんだり、そんな日のお話です。
オンラインでの打ち合わせを終わらせてから、
足早に、認知症と頚椎(けいつい)の手術後のフォローを診て下さっている病院へ。
足元が悪い日は空いているかしら…。
そんなこともなくて、混雑している様子に、
院内のカフェで過ごしながら待っていることにしました。
私には珍しく温かい飲み物を選ぼうとメニューをのぞき込むと…。
しかし、頭の中には選びたい商品が浮かんでいるものの、
言葉にしてうまく伝えること、探して指で指すことができませんでした。
ちょっと慌てていたかしら…。
そんなときでした。
店員さんが丁寧にメニューの表示に手を添えながら、
どんなドリンクがあるかを説明しながら、飲みたいドリンクを尋ねてくださいました。
途中から、
「スパイスの…」
そんな言葉が私から出てきたかと思います。
店員さんは笑顔で教えてくださいました。
「チャイミルクティーですかね」
混雑している時間帯に丁寧に対応していただけたことに感謝とともに、
この気持ちを忘れたくないと、この連載を書くためにスマートフォンの原稿画面に指を滑らせています。
最近は苦手になってきたスマートフォンの指による入力を補うために、音声入力などを利用するなどして、工夫をしているのですが、
心が躍ることはゆっくりながらも、指で入力が出来ている自分に気づきました。
きっと、うれしく心弾み、ほほ笑んでいる。
それは、日頃から院内でさまざまな方と接する機会がある店員さんだからこそ、
自然とできたサポートかも知れませんね。
そして、認知症の私たちは、言葉でうまく表現することが難しくなっても、
伝えたい思いや、感情はしっかりあり、その人は生きているということ。
だからこそ、ゆっくりと声を聞いていただきたいです。
ときには、心の声に耳を傾けてみてください。
そして認知症に限らず、
どんな人々が、社会の中に暮らしているかについて少しでも関心を持っていただければと思います。
私は、関心をもち、知ることの大切さを、日々の生活の中で感じています。
講演会でも最近伝えていること。
どうか人に興味を持ってみてください。
興味を持つことによって見えてくる世界、景色があるのです。