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骨折した高齢の母が退院 認知症も…帰宅かそのまま施設か【お悩み相談室】

車椅子に乗るひと

作業療法士の野村和代さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.認知症の母(80歳)が骨折して入院していました。父(82歳)と2人暮らしなので退院後そのまま施設に入居するか、自宅に戻るか迷っています。本人は自宅に戻りたいようですが、リハビリをするなら施設と自宅ではどちらのほうがいいのでしょうか。(52歳・男性)

A.施設のほうが、ご家族としては安心かもしれません。また、そこでリハビリテーションも行えばいいとも考えられますね。しかし、自宅でも介護保険サービスの訪問リハビリやデイケア(通所リハビリテーション)、リハビリ特化型のデイサービスを利用すれば、しっかりとリハビリに取り組むことができます。また、施設といってもさまざまなので、リハビリを重視するのであれば、実際にリハビリを見学したり、作業療法士や理学療法士がどの程度関わっているのかといったことを確認したりするといいと思います。

そのため、施設か在宅かの選択は、どちらがリハビリに取り組みやすいかという視点で考える前に、お母さんの認知症の程度や骨折後の身体状況、お父さんの介護力などを総合して判断するのがいいと思います。つまり、一緒に暮らすお父さんが、今のお母さんを支えられるのかということです。例えば、骨折前と比べて認知症が進行しているのかどうか、お母さんは1人で歩けるのか、もしくは介助が必要なのかといったことによって、判断は変わってくると思います。退院前に医師や作業療法士、理学療法士にそうした点を評価してもらったうえで、ケアマネジャーに相談するといいでしょう。

総合的に判断して、現状では自宅に戻るのは難しい状況であっても、お母さんの自宅に戻りたいというお気持ちを尊重できる場合もあります。例えば、認知症はそれほど進行していないけれど、1人で歩くのは難しいという場合、介護老人保健施設に入所して、認知機能の維持や身体機能面の改善を目的に一定期間リハビリに取り組み、1人で歩けるようになってから自宅に戻るといった方法です。その間に介護保険の住宅改修を利用して自宅の段差をなくしたり、手すりを設置したりして、お母さんが安全に暮らせるように環境を整えておくのもおすすめです。

どこで暮らすのがお母さんとお父さんにとって快適か、といったことを基準に選択できるといいですね。

【まとめ】認知症の母が骨折。退院後施設に入居するか自宅に戻るか迷う場合は?

  • お母さんの認知症の程度、骨折後の身体状況、お父さんの介護力などから判断する
  • 一時的に介護老人保健施設に入所してリハビリに取り組み、心身の機能が回復してから自宅に戻る方法もある

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