話したくない、じっとしていたいこともある それも認知症の症状なのかも
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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佐藤さんはいつも人と離れ、そこにいる。
周りの人たちは佐藤さんを
「そんな性格の人」と思っている。
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佐藤さんは、ふと思う。
自分は本来こんな性格だったか、と。
認知症になってから、
話すと疲れるようになった自分を思う。
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佐藤さんは、
これは認知症のせいなんだ、と、
語ることはない。
佐藤さんは、ただ、そこにいる。
認知症の症状は、十人十色です。
「会話そのものに、疲労を感じる」
佐藤さんのような方もいらっしゃいます。
厄介なのは、個々が持つ症状が、
物忘れや、徘徊のような「いかにも認知症」とされる症状ではないために、
その人本来の性格、と
見なされてしまうことです。
当事者の方のお気持ちを察すれば、
それはとても悲しいことではないでしょうか。
「大切なのは認知症を見るのではなく、その人ご自身を理解すること」と、よく言われます。
ただ、認知症があろうとなかろうと、
人ひとりを理解することは、
容易ではありません。
その前提を忘れることなく、
当事者の方に関わることの大切さを思います。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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