認知症「も」ある日常を怖がらないで ニュースやドラマが伝えるのはごく一部
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
日々流される、認知症のニュース。
認知症になったら全てが終わり、
というものもある。
それは「本当のこと」?
認知症の症状は千差万別。
ニュースにならない日常は、無限に溢れている。
ひとりの声に、耳をすまそう。
大きな声に、
私たちの選びたい未来まで
かき消されないように。
先日、知人からこんな話を聞きました。
「認知症を知りたくて、
認知症を題材にした、ドラマを見た。
怖かった。絶対に、なりたくない!」
私は、胸の奥がチクリと痛みました。
認知症の情報を発信している私も、
そのドラマの制作者と、
似たり寄ったりだと気づいたからです。
記憶障害、物盗られ妄想、徘徊。
そういった、認知症の症状の
目立った一部分を切り取って、
私も発信を行いがちです。
なぜなら
「認知症がある山田さんは、
今日は散策をしました」
のような当たり前の日常は、
取り上げるまでもないからです。
けれど、実際は、当事者の方々の多くは、
認知症「も」ある、
日常を過ごされています。
つまり、24時間、
認知症に振り回された生活を
送っているわけではないのです。
その生活は、同じ人生を送る人が
誰ひとりといないように、千差万別です。
その多様さのなかにこそ、
認知症を正しく知る術が
隠されています。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》