「認知症になっても大丈夫?」 女の子とわたし:1
![DAYS BLG! はちおうじの看板の隣で、「駄菓子屋」ののぼりががはためいています。なかまぁるは、それぞれの「私」が、自分らしく生き続けていくための情報をお届けします。この連載は、東京都八王子市のデイサービスで、認知症当事者スタッフとして働く、さとうみきさんが綴るエッセイです](http://p.potaufeu.asahi.com/47af-p/picture/26185080/651aabe7ad0177ea8361300f559dbf47.jpg)
こんにちは、さとうみきです。
DAYS BLG! はちおうじ(以下、BLG! はちおうじ)には、玄関を入った所に小さな「駄菓子屋さん」があります。そこで出会った女の子との交流を、これから5回にわたってお伝えしようと思います。初回の今回は、女の子からもらった大切な宿題のお話です。
コロナ禍以前は学校帰りの子どもたちが
駄菓子を買いに訪れる光景がありました。
![こちらが駄菓子屋さんコーナーです。](http://p.potaufeu.asahi.com/2b4e-p/picture/26185081/049aaa17e8eeb02c209d3e4f17dfe72b.jpg)
そんな駄菓子屋さんの常連の小さな大切なお客さまで、
メンバーさんにもスタッフにもとても人懐こい小学校3年生の女の子がいます。
その小さなお客さまとの、ある日のエピソードです。
BLG!はちおうじの活動が終わり、職員がメンバーさんの送迎に出ている合間に
わたしが掃除、消毒、片付けを進めている時間でした。
ガラガラ〜
勢いよく扉が開き、
玄関に目を向けると
100円を握りしめた女の子が元気よく靴を脱ぎ、入ってきました。
わたしは思わず
「おー、久しぶりだねA子ちゃん!」
女の子は
「違うよ! わたしはB子だよー」
「そっか、ゴメンゴメン。間違えちゃった」とわたし。
わたしの掃除の様子を見ていたり、ちょっと邪魔したり
遊んでほしい様子でこちらをうかがっています。
わたしは早々に作業を切り上げ
女の子とたわいもない会話を楽しみます。
ふと、女の子が
窓に張られたポスターを見上げながら
「ここのおじちゃんたちはみんな認知症なんでしょう?」と聞いてきました。
![メンバーさんの想いが付箋で貼られています。](http://p.potaufeu.asahi.com/4e0a-p/picture/26185082/c86908c1f13201e686545d6197f7239c.jpg)
「さすが、A子ちゃんはいつも来てくれるから理解してくれているんだね!」
「うん、知ってるよ! ねー、わたしはB子だよー!」
「ごめんね。おばちゃんも認知症だから、名前を覚えられなくて」
「なんで若いのに認知症なの? そんなの変だよ」
わたしは「若年性認知症」について、子どもにも分かりやすいように話をしてみました。
すると女の子は突然、立ち上がり
「認知症って怖い?」
わたしは即答できませんでした。
笑いながら
「なんでー?」話題をそらして、少し雑談を続けると
「帰ったらおばあちゃんに話していい? ねー、認知症になっても大丈夫って言っても・・・?」
そう言うと
女の子は元気に走って出て行きました。
だけどすぐに戻ってきて
「ねえ~、名前はなんて呼んでいい?」
わたしは
「みきちゃんでも、さとうさんでもいいよ!」と、伝えます。
「じゃあー、さとーさん! またねー。
今度は、認知症になっても大丈夫って言ってね!」
また、そう言って、駆け足で帰っていきました。
女の子から、わたしに大切な宿題をもらったかのように
不思議な時間が流れていました。
この子との不思議なエピソードは続きます。
![](http://p.potaufeu.asahi.com/nakamaaru/img/nakamaaru450_450.gif)