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「待っている気持ちと逃げたい気持ち」女の子とわたし:2

メンバーさんの付箋に書かれたメッセージを指さしながら読む女の子。なかまぁるは、それぞれの「私」が、自分らしく生き続けていくための情報をお届けします。この連載は、東京都八王子市のデイサービスで、認知症当事者スタッフとして働く、さとうみきさんが綴るエッセイです
メンバーさんの付箋に書かれたメッセージを指さしながら読む女の子

こんにちは、さとうみきです。
DAYS BLG! はちおうじ(以下、BLG! はちおうじ)には、玄関を入った所に小さな「駄菓子屋さん」があります。そこで出会った常連のお客様、小学3年生の女の子との交流を、全5回のシリーズで、お伝えしていきます。2回目の今回は、女の子と会えなかった日のことです。

100円を握りしめて駄菓子を買いに来てくれた女の子。

わたしが認知症だと知って、
「今度は認知症になっても大丈夫って言ってね」と
宿題をくれた、小学校3年生の女の子です。

ずっと、次に会ったらどんな風にお話をしようかなぁ……
こんな伝え方がいいかなぁ……
無責任に「大丈夫だよ!」とは言えないなぁと考えていました。

診断されてまだ2年。
まだまだ「認知症になっても大丈夫だよ!」とは言えない気持ちがあります。

そんな想いの中で、その日の活動を終え
掃除をしながら女の子を待ちます。

掃除を終えてからも、もうちょっと待ちますが女の子は来ません
今日は来ないのかなぁ…。残念に思う反面
どこか焦って片付けをしながら帰宅準備をする、わたしもいました。

BLG! の玄関の鍵をかけ、ちょっとホッとした自分に
「何をしてるんだ!」と自分に喝を入れたことを記憶しています。

帰り道に、ふとやるべきだった片付けなどの仕事を忘れたことを思い出し
スタッフのグループLINEに連絡しました。
やはり慌てていたんだなぁ
逃げ腰だったんだなと、そんな自分を恥じました。

逢えなかったと思うと逢いたくなる。
また来てくれるかなぁ
大切な未来の小さなサポーター
また逢えると信じて……。

小学校の「認知症キッズサポーター養成講座」講師のご依頼も、
コロナ禍でオンラインではありますが、いただいているので、
この女の子とのやり取りから学んだように、
分かりやすく、子どもたちに伝わりやすいように
原稿作成をはじめようと思いました。

認知症になっても前を向いて
誰もが安心できる社会につながる一歩となりますように。

「認知症になっても大丈夫」と言える社会に向けて
今のわたしに出来ることを少しずつ。

じーっと見つめ、メンバーさんの付箋に書かれたメッセージを読み上げる女の子。
じーっと見つめ、メンバーさんの付箋に書かれたメッセージを読み上げる女の子

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