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仕事辞めろってこと?「独り介護は無理、帰ってきて」と母【お悩み相談室】

肩にのせられた手に手を伸ばす男性

介護の次世代育成に取り組む坂本雅子さんが、介護・支援活動を生かして認知症の様々な悩みに答えます。

Q.父(80歳)は2年ほど前から認知症で、地方で母と暮らしています。先日、母から「1人で介護するのはもう無理だから、帰ってきてほしい」と言われてしまいました。私は独身なので身動きはとりやすいのですが、仕事は辞めたくありません。とはいえ簡単に「施設に入れれば」とも言いづらく、悩んでいます(45歳・女性)

A.「お母さんの負担を軽くしたい」「お父さんにはできるだけ自宅で過ごしてほしい」「これまでに積み上げたキャリアーを失いたくない」……相談者が抱える複雑なお気持ち、よくわかります。どの思いを優先するのか悩んでいらっしゃるかもしれませんが、私はすべて大切にしてほしいと思います。

「仕事を辞めて帰る」「お父さんを施設に入れる」といった選択の前に、まずはお母さんからどんな点が大変なのかなど話をじっくり聞いて、ねぎらいの言葉をかけてあげてほしいと思います。お母さんのSOSに寄り添う時間をつくるだけで、お母さんの気持ちにゆとりができるかもしれません。また、具体的に大変な点がわかると、そこをカバーする介護サービスを受けることを検討するなど、お母さんの負担を減らして在宅介護を続けるための具体的な対策がみえてくるかもしれません。

仕事を辞めて実家に帰ったとしても、介護の時期が過ぎたときに、相談者も「帰ってきてほしい」と言ったお母さん自身も後悔するのではないでしょうか。お母さんには寄り添いつつ、仕事を続けたいという相談者の思いも伝えてほしいと思います。突き放すのではなく、「仕事を続けながら、できるだけ協力していきたい」という伝え方ができるといいですね。

遠距離ではできることは限られますが、お母さんに「娘も一緒にがんばってくれている」と実感してもらうためには、こまめにコミュニケーションをとることが大事だと思います。テレビ電話などを利用して、お母さんの話を聞いてあげてください。

【まとめ】地方で父を介護する母から「仕事を辞めて帰ってきてほしい」と言われたときには?

  • どんな点が大変なのかなど、お母さんの話をじっくり聞いて、ねぎらいの言葉をかける
  • 「仕事を続けたい」という思いと同時に「できるだけ協力したい」ということをお母さんに伝える

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