母を介護する私を悪者扱い?「もっと優しく」と責める家族【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
介護の次世代育成に取り組む坂本雅子さんが、介護・支援活動を生かして認知症の様々な悩みに答えます。
Q.認知症の母(85歳)を自宅で介護しています。夫や娘から、母に対しての私の言い方や口調が「最近きつくなった」「もう少しやさしくしてあげて」と責められます。夫や娘は日中不在で、介護をしているのは私なのに、悪者扱いされているようでつらいです(52歳・女性)
A.それはつらいですよね。介護研修の講師として、在宅介護をしているご家族のお話をうかがう機会があり、介護をしていて困難なことを挙げてもらうと、「家族からねぎらいの言葉がない」という声をよく聞きます。報酬がない家族介護は、ねぎらいの言葉でしか評価されないのです。ねぎらいの言葉がもらえないばかりか、責められるのは、本当につらいことと思います。
夫や娘が帰宅するのは、おそらく夕方から夜ですよね。その時間帯というのは、ちょうど夕食の支度をしたり、洗濯物をたたんだり、家の中ではやることが多く、相談者自身も余裕がないかもしれません。また、認知症の人は夕方になると疲れがピークとなり、症状が出やすくなるとも言われています。そうしたタイミングで、お母さんにきつい言い方をしてしまった場面を、たまたま夫や娘に見られたのかもしれません。
一日を通してみると、お母さんと相談者とで楽しいひとときもあったと思うのです。夫や娘にも「今日はこんなことがあったよ」と、ぜひお母さんとのエピソードを話してほしいと思います。楽しいことも、大変だったことも話すことで、夫や娘も相談者とお母さんとの一日をイメージでき、ねぎらいの言葉が出てくることもあるでしょう。
ただ「最近きつくなった」という夫や娘からの指摘は、一つの客観的な視点でもあります。「どんなふうに言えばいいかな?」と夫や娘に相談してみてはいかがでしょうか? 普段からお母さんとのエピソードを話していると、相談もしやすいと思います。大事なのは、一人ひとりで抱え込まないこと。この機会に家族で何でも話せる関係ができるといいですね。
【まとめ】夫や娘から母に対しての言葉がきつい、と責められてつらいときには?
- 楽しかったこと、大変だったことなど、お母さんとの一日のエピソードを話し、介護について理解してもらう
- 「どんなふうに言えばいいかな?」と夫や娘に相談してみる