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施設に入った母が「帰りたい」 面会に行くのも苦痛です【お悩み相談室】

母の手を取る女性のイメージ

介護の次世代育成に取り組む坂本雅子さんが、介護・支援活動を生かして認知症の様々な悩みに答えます。

Q.一人暮らしをしていた認知症の義母(82歳)が、最近施設に入居しました。面会に行くと私の腕にしがみついて「家に帰りたい」と泣きついてきます。手をふりほどいて帰るのがつらく、面会に行くのが苦痛です(50歳・女性)

A.お母さんが「家に帰りたい」というのは、ごく普通のことです。相談者がつらい思いをされているのは、どこかで「お母さんを施設に入れてしまった」というような、後ろめたさのようなものがあるのかもしれません。私が施設長を務める特別養護老人ホームでも同じようなケースはよくあります。「面会すると『帰りたい』と言われるので行かない」とおっしゃるご家族や、せっかく来所したのに事務手続きだけして、面会せずに帰るご家族も少なくありません。そうした場合に、私たちは「ひとめだけでもいいので、会ってお話ししてください」「お家の様子を話したり、施設でのできごとを聞いたりしてください」とお伝えします。ご家族に対しては「帰りたい」と泣きついたとしても、面会後は穏やかな表情になる入居者が多いのです。ご家族と会って話すことは、やはりうれしいのだと思います。

面会から帰るときには「またすぐに来ますからね」と伝えて、こまめに会いに行ってほしいと思います。大切なのは、面会時間の長さではなく、回数だと感じています。家族がちょこちょこ会いに来てくれると、徐々に「さよならしてもまたすぐに会える」ということが理解でき、安心されると思うのです。ひょっとしたら「家に帰りたい」という言葉の中には、「次はいつ会えるのかわからない」というさみしさもあるのかもしれません。すぐに会えることがわかれば、「家に帰りたい」という言葉が「またね」に変わるかもしれません。

施設に入居したばかりとのことなので、まだ施設に慣れていないことも「帰りたい」と言う一因かもしれません。面会後に帰っていくご家族を、穏やかな表情で、手をふって見送る入居者もたくさんいます。ただし、何年施設で過ごしても「家に帰りたい」というのは、入居者の本音だと思います。その気持ちを理解したうえで、何度でも会いに行ってほしいと思うのです。

【まとめ】施設にいる義母から「帰りたい」と泣きつかれて、面会に行くのが苦痛なときには?

  • 施設入居者が「家に帰りたい」と思うのは普通のこと。少しの時間でもいいのでこまめに面会に行く
  • またすぐに会えることをお母さんが理解できると、面会後に泣きつくことはなくなる可能性もある

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