「テレビはつけておきますか?」訪問介護員がひとつずつ確認する理由
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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訪問介護は、どこにある?
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訪問介護は、
人の暮らしの中にある。
その家のタオルで、
その人の肌を清め、温める。
訪問介護員は、そこにいる。
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訪問介護員は、
今日も町のどこかにいる。
誰かの人生をあるがまま、
明日につないでゆくために。
「このタオルを使っていいですか?」
「一階で、お湯を頂けますか?」
「テレビはつけておきますか?」
訪問介護の時間は、
訪問介護員が介護される人に
ひとつひとつ、確認を
とりながら進みます。
なぜなら、
御本人の暮らしを壊さぬよう、
その方の意思を確認する
必要があるからです。
訪問介護の仕事は、ときに、
「誰でもできる家事の延長でしょ?」
と、勘違いされることもあります。
人の暮らしを支える、という、
やわらかな言葉の印象に
誤解されがちですが、
訪問介護員の心は、
あるがままのその人を支える、
緊張感といつも隣合わせです。
人生が積み重なる、
人の暮らしの有り様。
そこに入らせていただく、という、
訪問介護員のプロとしての
他人行儀があるのです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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