「なにかできることは、ありますか」シンプルな一言が持つ、確かな力
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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いつも、
あなたのそばに、咲く花。
けれど私には、見えない花。
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私に、見えるのは
あなたの悲しみだけ。
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だから、聞かせてほしい。
あなただけに見える、
その花の話を。
「トイレに、鳥が隠れてて、怖い」
もし、そんなふうに、
認知症がある方から
実際には無いものを、
あるものとして、相談された時
どう答えますか?
私が、新人介護士の頃の話です。
私は、実際にはいない鳥を
私にも見えているかのように
相づちをうちました。
すぐに、先輩の介護士に、
注意されました。
なぜならそれは、
ご本人を騙し、
余計な混乱を促すことに、
つながるからです。
私はただ、
「なにかできることは、ありますか?」
と、シンプルに聞くだけで
よかったのです。
そうすれば、ご本人が望む形で、
「トイレにいる鳥」を一緒に
追い出すことができたでしょう。
認知症があってもなくても。
困っている方への
サポートの仕方は、
なんら変わりがないのです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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