二世帯住宅に越しました。子育て中に介護もやってきそうです【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
看護師の石橋さつきさんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.二世帯住宅を建て、半年前から夫の両親と同居しています。最近義父(75歳)が同じことを何度も聞いてきたり、近所で道に迷ったりするので、認知症ではないかと思うのです。ただ義母も夫も全く気にとめていなくて、言い出しにくいです。介護を担うのは結局私になるような気がするのですが、子どもたちもまだ小さく、不安で仕方ありません。どうすればこの不安が解消されるでしょうか(40歳・女性)
A.現状では、義父は日常生活に支障をきたすほどではないので、義母も夫も、気にしていないのでしょうね。この状況で思い切って義母や夫に「お義父さんは認知症かもしれない」と伝えても、「年だからこれくらいのことは仕方ない」と返されて話が終わってしまうかもしれません。ただ、認知症は、早期のうちに診断を受けて、治療を受けたり、環境を整えたりすることで、進行を遅らせることができる可能性があります。こうしたことを含めて、まずは義母や夫に認知症についての理解を深めてもらうことが必要だと思います。
市区町村では、体操や脳トレなどを行う「認知症予防プログラム」や認知症について学べる「認知症サポーター養成講座」など、認知症に関連したさまざまなイベントが開催されています。自宅に届く市報や区報など市区町村からの刊行物に、そうしたイベントの情報が掲載されていると思います。刊行物や情報を義母や夫に見せながら「こんなイベントがあるみたいだけど今度行ってみない?」と誘ってみてはいかがでしょうか。イベントで、早期に診断・治療を受けるメリット、認知症になっても環境次第でこれまで通りの日常生活を送れることなどを学び、認知症について詳しく知ることができると思います。家族の中でも認知症について話題にしやすくなるでしょう。相談者自身も認知症についての理解が深まることで、漠然とした不安が解消されるかもしれません。
こうしたイベントに参加していると、保健師や認知症介護指導者など、介護や福祉に関わる担当者と顔見知りになっていきます。すると義父のことについて気軽に相談できるようになりますし、いざ介護が必要になったときにも介護保険サービスの情報などを得やすいと思います。
義父がこの先認知症と診断され、介護が必要になる日がきたとしても、相談者が1人ですべての介護を担う必要はありません。さまざまなサービスを利用することで負担を減らすことができます。今のうちからこれらの情報を知っておくと、相談者の不安は軽くなるのではないでしょうか?
【まとめ】義父に認知症の疑い。この先1人で介護することになるかもしれず、不安なときには?
- 市区町村で開催されている認知症予防プログラムや認知症サポーター養成講座に家族で参加し、認知症についての理解を深める
- 介護に関するさまざまなサービスを知っておく