私は私を守る。知っています、あなたの本心は、傷つく私を望んでいない
《介護施設で働く漫画家、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
穏やかだった、あなたが
変わってしまった。
暴れるあなたから、
私は私を、守る。
私を傷つけないことが、
あなたの本心。
認知症のあり方は多様で、感情の抑制ができず、暴力的になることもあります。
時に、突発的に見える暴力行動ですが、
多くの場合、理由があります。
その理由は様々で、本人の口から聞けたらいいのですが、難しい場合は観察が必要です。
「排便のリズムが、よくないのでは?」
「○時に流れる音楽が、気に触るのでは?」
「○○さんの話を、聞きたくないのでは?」
……そうやって介護者は、日々の観察をもとに予測し、興奮の火種をあらかじめ、取り除いています。
しかしどうしたって、興奮されることもあるでしょう。
その時、介護者にとって大切なのは、
一番に、自分自身を守ること。
なぜなら、自分を守ることでようやく、
暴れる相手に対して冷静にむきあえるからです。
症状によって理性を失った、当人です。
本心は、介護者を傷つけることを望んでいません。
嵐が去ったあとも、お互いの心を守るために。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》