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信頼できるケアマネ 多忙で「ここぞ」の時に話せません【お悩み相談室】

忙しく活動する女性のイメージ

介護支援専門員(ケアマネジャー)の長澤かほるさんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.さまざまな介護サービスを利用しながら、認知症の妻(85歳)を一人で介護しています。担当のケアマネジャーは、説明がわかりやすく、地域の情報に詳しいので、信頼しているのですが、たくさんの利用者を抱えているようで相談にのってほしいときに、なかなかつかまりません。ケアマネジャーを替えてもらったほうがいいのか、悩んでいます。(82歳・男性)

A.私もケアマネジャーなので、「同業者」として実情も含めてお答えしますね。せっかく信頼できるよいケアマネジャーに出会えたのですから、替えるのはもったいないと思います。ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所では、地域による差もありますが、常勤のケアマネジャーであれば、おそらく1人で平均30人~35人程度の利用者を担当しています。それほど多くの利用者を担当しているのなら、いつでも事務所にいられるわけではない、と理解していただけたら、ありがたいです。つまり、たとえケアマネジャーを替えたとしても、つかまりにくい、という状況は変わらないのではないかと思います。

ケアマネジャーは必ず月に1回は利用者の自宅を訪問することが求められているので、基本的にはそのときに相談していただきたいと思います。相談内容をリストアップし、事前にケアマネジャーにメールなどで伝えたり、事業所に電話して伝言したりしておけば、資料などを準備したうえで訪問してくれるのではないでしょうか。

訪問時の面談は、通常30分程度です。短いと感じられる方もいるようですが、高齢の方にとって長時間の面談は疲れることがありますし、認知症の方はしっかりしたところを見せようとがんばるので、余計に疲れを感じやすい傾向があります。ケアマネジャーが帰ったあとはぐったり寝てしまう、という話を聞いたこともあります。ケアマネジャーはなるべく長居しないことを意識しているはずですし、最近のコロナ禍では感染予防の観点から、なおさら短い訪問になります。相談事があって長くなりそうな場合は、あらかじめ「1時間くらい時間がほしい」などと伝えておくといいでしょう。

もちろん、相談内容によっては、次の訪問まで待てないこともあると思います。その際もまずは事業所に連絡してみましょう。担当のケアマネジャーは不在かもしれませんが、伝言してくれますので、次の訪問を待たずに折り返しの連絡をくれたり、日時を決めて訪問に応じてくれたりするはずです。

ケアマネジャーには「電話をすればすぐにつながって相談できる存在であってほしい」と利用者やご家族は思うかもしれませんが、それを実現しようとすると、時間的にほかの利用者のお宅に訪問できなくなってしまいますよね。相談者はせっかくよいケアマネジャーに出会えたのですから、ケアマネジャーという職業の性質を理解していただき、うまく付き合っていってほしいと思います。

【まとめ】なかなかつかまらないケアマネジャーを替えたほうがいいかどうか悩むときには?

  • ケアマネジャーを信頼しているなら、替えないほうがいい
  • 複数の利用者を抱えていて、タイミングよく相談する時間をとりづらいことを理解する
  • ケアマネジャーの定期的な訪問日が決まっていたら、あらかじめ相談内容を伝えておく
  • 急な相談事があれば「不在かもしれない」という想定で事業所に連絡をして、不在であれば担当のケアマネジャーに連絡してもらうように伝言する

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