ケアマネと兄が勝手にプランを決定。私が母を見てるのに【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
居宅介護支援(ケアマネジャー)の市川裕太さんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.認知症の母(79歳)が近所に一人で住んでいるのですが、ケアマネジャーと兄が私に相談することなく、ケアプランを進めていきます。兄よりも私のほうが母の面倒を見ていますし、理解もしているのですが、 ケアマネジャーは「キーパーソンはお兄さんだから」と言って私の話をあまり聞いてくれません。(49歳・女性)
A.はじめに、キーパーソンの役割について考えてみたいと思います。キーパーソンの役割は、2通りあります。1つは、連絡調整の窓口としての役割、もう1つはケアマネジャーと相談しながらさまざまな介護保険サービスの利用などを本人と一緒に、または本人に代わって決定していく役割です。キーパーソンがどちらも担う場合もあれば、キーパーソンはあくまで窓口としての役割だけで、決めごとは家族で相談するという場合もあります。ケアマネジャーは、家族それぞれの意見を尊重する立場ではなく、あくまで本人の生活を安定させるために家族と関わっていくという立場です。このため、家族の意見は1つにまとめていただき、ケアマネジャーとの窓口はキーパーソン1人というのが理想です。
お兄さまは、どのような経緯でキーパーソンになったのでしょうか。相談者が話を聞いてもらえないことを悩んでいるということは、ケアプランに対して納得できず、物申したいお気持ちがあるのだと思います。お母さまの面倒をみていらっしゃるからこそ、気づく点も多いはずです。お兄さまがキーパーソンになった理由を踏まえながら、まずはケアマネジャー、お兄さま、相談者の3人で話し合う機会をもうけて、改めてキーパーソンの役割について確認したり、疑問に感じていることや自分にも相談してほしいという要望をしっかりと伝えたりしてはいかがでしょうか?
兄妹間で直接やりとりをしにくい、という状況もあるかもしれません。ケアマネジャーがその点を理解して、キーパーソンであるお兄さまとケアプランを作成したうえで、相談者に「お兄さんに立ち会ってもらってケアプランを作成しましたが、意見がありましたらおっしゃってください」というように、相談者の意見もうかがうような姿勢は必要だと思います。ただし、本来ケアプランは、本人の生活を支えるための本人の「介護計画」で、それがあれば介護サービスを利用できるため、できればケアプランを作成する前に意見を聞いてもらえるように一言話しておくといいかもしれません。
また、ケアプラン作成にあたっては、利用している事業所や家族が本人を交えて一同に集まって話し合う「サービス担当者会議」というものがあります。こうしたケアプラン作成に向けた情報収集・意見交換の場に参加するのも一つだと思います。
ケアマネジャーを見極める最大のポイントは、認知症である本人の性格なども考慮しつつ、どれだけ本人のことを深く考えてくれるかということ。そのうえで、家族の声にも耳を傾けてもらえるケアマネジャーだといいと思います。
【まとめ】ケアマネジャーと兄が意見を聞いてくれないときは?
- ケアマネジャー、兄と3人で話す機会をもうける
- ケアプラン作成のための「サービス担当者会議」に参加する