見えなくても笑みを絶やさぬあの人。失ったからこそ彼女が得たもの
《介護施設で働く漫画家、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

目が見えなくなったからこそ、強くなった感覚がある。

もう目で追うことができない手紙だからこそ、色濃くよみがえる思い出。

亡き人が残したラジオに、眠りを誘われながら、また明日。
年をとると、失うことばかり。
けれどそれを、不幸と決めつけるのは早計かもしれません。
高齢者には、その失う過程を終いの支度として、穏やかに過ごす方が少なからずいらっしゃいます。
このマンガの女性も、まさにそのお一人でした。
高齢になり視力を失い、認知症もあるこの女性は、最期まで独居でした。
そして、いつも微笑まれていました。
失うことで見えてくる、心の持ちようがきっとあるのでしょう。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
