心豊かな雪の日 自家製塩ダラの彩りスープ 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん
撮影/百井謙子
フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。彩り豊かな画用紙とスープで、ココロも部屋もほっこりと。
※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません
その冬、横浜でも何度目かの大雪が降り、デイサービスが休みになった。私は自宅からスカイプで会議に参加し、母と過ごすことにした。ほぼ毎日デイサービスを利用していたので、昼間も一緒にいる日は滅多にない。母と食卓に向かい合って座り、ノートパソコンを広げて仕事をする。私が目の前にいることが安心感につながったのだろうか、母はクーピーでずっと模様を描いていた。色遣いが明るく、楽しい気持ちでいるのがよくわかる。しばらく不穏な日が多かったので、やわらかな表情の母を見るのは久しぶりだった。
母はときどき窓から雪を眺めて、そのたびに歓声を上げた。夜になっても雪の印象が強烈に残っていたのか、「冬の日は寒さにマケズがんばろう」「雪を見て楽しむ子ども手をたたく」と、めずらしく俳句を詠んだ。高齢者ばかりの団地で雪遊びをする子どもはいなかったので、2句目は雪景色から連想した歌だ。母の豊かさに触れたことがうれしくて、カラフルなスープを作った。
自家製塩だらといろいろ野菜のスープ
たらは塩を軽くふり、冬晴れの日に数時間干しておくと、ほどよく水分が飛んでうまみアップ! 多めに買って寒風に当ててから冷蔵庫に入れておくと重宝します。好みでレモン汁を足すとさわやかな味に。はじめはそのまま食べて、途中でレモン汁を加えて味を変えて見ても。外で干せない場合は、甘塩たらを使ってください。
材料 2人分
生たら切り身(または甘塩たら) 2切れ(160g)
塩 小さじ1弱
ブロッコリー 3房(45g)
にんじん 40g(小1/4本)
じゃがいも 200g(1/2個)
水 400 ml
顆粒コンソメ 小さじ1/2
しょうゆ 少々
オリーブ油 小さじ1
レモン汁 適宜
作り方
- たらは食べやすい大きさに切り、ざるに並べて塩をふり、半日ほど寒風に当てる
- ブロッコリーは小房に切り、茎は薄切りにする。にんじん、じゃがいもは1cm厚さのいちょう切りにする
- 鍋に水400 mlを入れて火にかけ、沸騰したらコンソメ、1、2を入れて7〜8分ほど煮る
- 味見をしてしょうゆ、オリーブ油を加え、ひと煮立ちしたら火を止め、好みでレモン汁を加える