ものごとには理由がある。タオルを洗わせない智恵さんの心を開くには
《介護施設で働く漫画家、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

智恵さんのこだわりは「使ったタオルや衣類を、洗わずに使い続けたい」ということ。見かねた訪問介護ヘルパーが、洗濯しようとすると怒るので、清潔を保つのが難しかった。
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「智恵さんのこだわりをなんとかしなければ!」と躍起になっていたヘルパー達は、気持ちをあらためた。そのこだわりを、智恵さんと共有にすることにした。

それから、智恵さんは少しずつ、ヘルパーに洗濯を許してくれるようになった。こだわりは、智恵さんの心そのもの。
「認知症になると、こだわりが強くなる」
……介護に携わる方なら、一度は耳にしたことがあるフレーズでしょう。
でも「こだわり」とあきらめ、遠目で観察するように接することは、乱暴な気がします。
なぜならこだわりこそ、心の奥の深い機微をあらわすもの。
そのあらわれも理由も、人それぞれです。
ご本人さえ、なぜこだわっているのか、わからない場合も多々あります。
今回の智恵さんのように、
物をためこんだり、触らせない、というのは、よくあるケースですが、
介護者側が頭では理解できなくても、
こだわりに添う在り方が、ご本人の安心を広げてくれます。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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