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介護施設で、あるある探検隊♪

謹慎してませんて。吉本に介護レク窓口できた あるある探検隊の活動報告12

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま介護施設をまわっています。テレビや劇場の一般客相手と違って、施設の利用者さんたちを笑顔にするのは、やっぱり難しい! そんな2人が見つけた、今日の介護現場の“あるある”は――。

レギュラーと介護施設のみなさん
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

レギュラーの2人が取り組む介護レクリエーションの活動は、メディアで取り上げられる機会も増えている。
今年5月に放送された情報バラエティ番組「爆報!THEフライデー」(TBS系)。2人が介護の世界にかかわるようになった経緯や現在の活動が紹介されたのち、タレントのつちやかおりさんの母親が入所している認知症グループホームを訪ねる様子が流れた。

つちやさんの母親は80代後半の認知症患者。無表情で笑顔を見せることが少なくなった母親の笑顔を取り戻そうと、目の前で介護レクリエーションのネタを披露するレギュラーの2人。つちやさんが出演した1979年のテレビドラマ「3年B組金八先生」(TBS系)の主題歌「贈る言葉」をイントロクイズにして聴かせると、母親は少しずつ口ずさみ始め、やがて笑顔も——。 

こうした2人の取り組みを、番組の司会を務める爆笑問題の太田光さんも高評価。気を良くした2人は、7月に著書『レギュラーの介護のこと知ってはります?』(竹書房)を出版した際も、太田さんの楽屋まで出向いたという。
「本を出させていただいたんですけど」と、さっそく出来あがったばかりの本を手渡す2人。

「あれー? もう出した?」
「え、なんですか?」
「わかってる、わかってる。謹慎で社会貢献とかやって、本を出したんだろ? それにしても早すぎないか?」
「いや、僕ら謹慎していないんですけど……」

こんなところでも“闇営業”問題をネタにされるレギュラーの2人だった。

西川くん しかし、テレビの反響はすごかった。爆笑問題の太田さんにも、「いいやつやってるね」と言ってもらったしな。

松本くん 僕らの介護レクリエーションの活動も、だんだん世間に認知されるようになってきた感じがするな。この前なんて、後輩の漫才コンビ・コマンダンテからも、テレビで見たからって会社を通じてオファーが来たもんな。親戚が仕事をしている介護施設に来てほしい、という話だった。

西川くん 芸人仲間からのオファーという意味では、パンクブーブーさんからもあったね。

松本くん 9月に行ったデイサービス施設「サルビア」(静岡県富士市)での営業も、ちょっとそれに近い形やった。「沼津ラクーンよしもと劇場」の支配人が、もともと僕らの元マネジャーだった人で、劇場に出演する足で行けるということで、セッティングしてもらったんやね。

西川くん 施設を運営する社会福祉法人「岳陽会」の理事さんが地元メディア出身の人で、そのつながりもあって、僕たちに「仕事として」の介護レクリエーションを依頼してくれはった。そういう身内絡み以外にも、たとえば松本くんのインスタグラムに直接、依頼が来たこともあったな。

松本くん そうそう、あのときはマネジャーも来なかったから、正真正銘の2人きりで現地に行って、駅で施設の人にピックアップしてもらった(笑)。たいていの施設はあまり予算がないんで、せめてマネジャー分の人件費を減らすとか、いろいろコスト削減の工夫をしないといかんからな。
あ、こう言うとなんか世間を騒がせた“闇営業”みたいやけど、もちろんぜんぶ会社を通してますから!

西川くん 以前は、せっかく「施設に来てほしい」というメールもらっても、予算の問題とか、場所の問題とか、その仕事を受けるかどうか判断する仕組みが会社になかったんやね。オファーはめっちゃめちゃ来ていたけど、ずいぶん断ってしまったもんな。

松本くん 最近ではようやく会社に窓口ができて、料金体系も固まってきたからね。実際に活動の幅も広がってきている。だからもう、いつでも仕事が受けられるで(笑)。

西川くん 会社の体制が整ってきたからか、僕らに続いて介護の世界に入る後輩もけっこう出てくるようになったな。

松本くん みんな僕らのところにちゃんと挨拶にくるね。これから介護のことやるようになったんで、よろしくお願いします、みたいな。専売特許じゃないから、そんな気を遣わないでええと思うけど。

西川くん 個人的に仲のええ後輩コンビ「スパン」も、1人が介護レクリエーションの資格を取ったからな。もう1人の相方が折紙講師の資格を持っていて、2人でどんなオリジナルネタがつくれるかって相談されたわ。僕らとは違うパターンやけど、介護芸人がいろいろ増えていきそうな予感やね。むしろ、一緒にやれたらええな。

松本くん やっぱり介護とお笑いは、相性がええんと違うかな。西川くんも、介護施設回るようになって、自分が変わったと思うところはない? おもしろくなったとか……?

西川くん いや、それはわからん(笑)。ただ、もともと僕は客席から“笑い声”がないと不安で不安で仕方ないというがあったんだけど……松本くんはそういうところ、意外に平気やん。

松本くん そやな。僕はみんなが楽しそうに聞いてくれてれば、笑い声がなくてもぜんぜん平気や。

西川くん 僕も施設を回るようになって、ハートが強くなったというか。施設にはいろんなコンディションの人がいるやん。だから度胸だけはついたみたいで、施設では“笑い声”を気にしないでいられるようになった。おかげで普段の舞台でも、ここはウケんでもいいかな、とか(笑)。

松本くん いやいや、そこはウケなあかんやろ(笑)。でも、最近では「あるある探検隊」以外でも、「いまは介護やってるんですよね」とか声をかけてもらうようになったのは嬉しいな。世界が拡大したような感じがする。

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

(編集協力/ Power News 編集部)

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