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婚約者は認知症の父に会いたいと言ってくれますが…【お悩み相談室】

テーブルを挟んで向かい合う男女のイメージ

若年性認知症の支援活動に関わってきた高橋惠美子さんが、若年性認知症の様々な悩みに答えます。

Q.11年前に父(61歳)が若年性認知症と診断されました。私は今年結婚することになり、彼は両親に会いたいと言ってくれています。父が認知症であることは伝えているのですが、原因疾患が前頭側頭葉変性症ピック病)のため、突然怒り出したり、予測不能な言動をしたりすることがあることは伝えていません。結婚がダメになるかもしれないと思うと会わせるのが怖く、今後の両家の顔合わせなども考えると憂欝(ゆううつ)です。(28歳・女性

A.お父さんは発症から10年以上経っているので、個人差はありますが、かなり進行している可能性もありますね。現在は在宅なのか、施設にいるのかわかりませんが、彼やその家族とお父さんを会わせるときは、普段通りの環境がいいと思います。認知症の人は知らない場所や人が苦手な傾向があります。レストランなどをセッティングしてしまうとパニックを起こしてしまうこともあるかもしれません。

彼には、前頭側頭葉変性症とはどんな病気なのかということと、今後自分は父親とどのように関わっていくつもりなのか、例えば、在宅で介護をしたいと思っているのか、それとも施設入所を考えているのか、経済的な見通しも含めてどのようにサポートしていきたいと思っているのか、といったことを伝えるべきだと思います。

若年性認知症は遺伝性の病気ではないと言われていますが、そうした点を互いに心配する場合もあると思います。ただ、どの家庭にも何かしらの問題はあるのではないでしょうか? あまり怖がり過ぎずに、率直に話してみてくださいね。お父さんのことを伝えることは、2人で将来のことをじっくりと話すいい機会にもなると思います。
それで結婚がダメになるようなら、ご縁がなかったということで。誰がいつどんな病気になるかなんて、わからないですよね。病気のせいで結婚を断ってくるような男性やその家族とは、どちらにしてもうまくいかないのではないでしょうか。

【まとめ】家族の若年性認知症について、婚約者に言いづらいときは

  • 自分自身が今後若年性認知症の家族とどのように関わっていきたいのか、イメージをしっかりと持っておく
  • 病気について、また今後自分が家族とどのように関わっていきたいのかを相手に伝える
  • 顔合わせはなるべく普段通りの環境で

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