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介護施設で、あるある探検隊♪

外国人技能実習生のカタコトが潤滑油に あるある探検隊の活動報告13

レギュラーと介護施設のみなさん
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま介護施設をまわっています。テレビや劇場の一般客相手と違って、施設の利用者さんたちを笑顔にするのは、やっぱり難しい! そんな2人が見つけた、今日の介護現場の“あるある”は――。

「○○ちゃん、この漢字の意味を知ってるかい?」
「ンー、ワカリマセン」
「この字の意味はね……」

愛知県のとある介護施設。介護レクリエーションで訪れたレギュラーの松本くんは、施設内に張り出されたお知らせの前で、男性入居者と介護スタッフがそんな会話をしているところを目撃した。「○○ちゃん」は2カ月前、アジアの国から日本の介護を学びにやってきたばかりの技能実習生だ。

外国人技能実習制度の対象職種に「介護職種」が加えられたのは2017年11月。19年3月には日本語能力の基準も緩和され、レギュラーの2人が介護レクリエーションのために訪れている全国の施設でも、外国人スタッフを見かける機会が増えてきた。

認知症などの高齢者の脳トレには、人に何かを「教えてもらう」より、人に何かを「教える」ほうが効果的な場合があることを実感している2人。

就業の「壁」と言われる外国人技能実習生の日本語が、ときに会話の潤滑油になる——。外国人スタッフを相手に、楽しそうに日本語を教える入居者を目の当たりにして、介護の新たな広がりを感じたのだった。


西川くん ほんま最近、外国人のスタッフさんをよく見かけるようになったね。

松本くん この間も、愛知県の介護施設に介護レクリエーションに行ったやんか。がっつり介護施設の雰囲気なのかと思ったら、前のほうには要介護度が高めの利用者さんたちが並んでいるんだけど、後ろのほうには利用者さんの家族とか、近所の人たちもたくさんいて、普通の営業みたいな空気やった。

西川くん そこで要介護の人も、その家族も、近所の人も、みんなが楽しめる介護レクリエーションを、と考えて、介護スタッフの人にも手伝ってもらうことにしたんやね。で、モノマネのリクエストをしてもらおうと前に出てきてもらったら……。

松本くん なんと日本人ではなくてミャンマーの人やった。日本語がおぼつかないんだけど、僕らもさすがにミャンマー語はしゃべれないやんか(笑)。さて、どうしようと別のスタッフに声を掛けたら……それも外国の人で。
彼らは日本に介護のことを学びに来てるんやね。最近は地方に行けば行くほど、ミャンマー、インドネシア、フィリピン、ベトナムなど海外から来たスタッフが多い。ほんま、すっかりグローバル化してきている感じや。

西川くん 日本は高齢化社会のモデルケースやからね。介護も世界の最先端。スタッフさんのテクニックもすごいし、福祉関連の展示会とかに行っても、ほんま海外から日本の最先端をチェックしに来ている人は多いな。

松本くん 介護の勉強をしていたときに思ったんやけど、日本では子どもの手が離れたあと、第二の人生として介護の資格を取ろうっていう人も多いやん。片やアジアなどの海外では、介護の勉強をしている人の中心は17歳とか18歳の若い人たち。日本で勉強して、自国に帰って介護の仕事をしようというのも、若い人がほとんどみたいや。

西川くん スタッフさんも高齢、入居者さんも高齢っていう「介護施設の老老介護」なんて、世界にはないんやろうね。あと、日本語がたどたどしい外国人のスタッフさんも、けっこういるやろ? そうやって頑張っている外国人スタッフさんたちに、子どもに接するみたいな優しい気持ちで、かわいがっている入居者さんも多いよね。
そういえば、僕らが介護レクリエーションの勉強をした学校にも、資格を取りにきていた中国の女性がいたな。

松本くん いたな。日本に来て長い人なんやろうね。日本語もうまかったね。
あのとき、ああそうなんやと思ったことがあってな。介護レクリエーションの企画書を書く授業だったんやけど、彼女はけっこう複雑な企画を出してきた。と、先生が「そんなに難しいことを考えず、中国のことはよく知っているのだから、チャイナ服を着て中国のことを話すだけで、立派な介護レクリエーションになりますよ」と指導していたんや。難しく考えずに直球でいくって大事なことやで。

西川くん 逆に、僕らが海外で介護レクリエーションをするときは、着物を着たり、空手をやったりすればいいってことやな。いろんな国の人が、いろんな国の介護に携わって、その国のことを学べたら、介護レクリエーションももっと楽しくなりそうや。

松本くん そういえば、吉本の社員さんにも言われたことあるな。いま僕らがやっている介護レクリエーションのパッケージを、中国でもできるようになったら「レギュラーさんも安泰ですよ」って(笑)。だから「早急に中国語をマスターしてください!」って。

西川くん 実際、僕ら十数年前に、テレビの番組で中国語の勉強をしたことがあったやんか。でも難しすぎて、すぐに挫折してもうた……。

松本くん いやいや、それはなかったことにして、再挑戦や! 介護最先端の国から来た、お笑い介護の第一人者として世界に打って出れば、(米ニューヨークに活動拠点を移した)お笑いコンビ・ピースの綾部祐二くんよりも先に世界的な知名度が上がるかも(笑)。

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

(編集協力/ Power News 編集部)

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