北風を抜け 海鮮焼きそばで空腹を満たす 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん
撮影/百井謙子
フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。あのときの母の笑顔がまた見たいから、たっぷりのシーフードに思いを込めて。
※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません
友人のカメラマンの写真展に、母と一緒に行きたいと思っていた。母は写真教室に通っていたので、写真を撮るのも見るのも好きだった。
ある日、デイサービスから帰ってきた母の表情がパッと明るく、落ち着きもあった。試しに「写真展に行ってみない?」と誘ってみたら「いいわね、行きたいわ」と返ってきた。気が変わることがあるのでしばらくしてから同じ質問をしてみると、また「行きたいわ」と答えた。すぐにタクシーを呼び、お気に入りのフリースを着せて横浜・馬車道のギャラリーを目指し、久しぶりに出かけた。
母は展示されている作品をゆっくり見ながら、好きな写真の感想を言う。やはり連れてきてよかった。
ギャラリーから出たら北風が冷たくお腹も空いたので、すぐ近くの「生香園」に飛び込んだ。テーブルクロスがかかった重厚なレストランで食事をするのも久しぶりだ。
外食のときは母が食べやすそうな料理を2つほど見繕って、どちらがいいか決めてもらうようにしていた。たくさんのメニューの中から自分が食べたいものを選ぶのは、母にとって難しい。
「お母さん、五目焼きそばと海鮮焼きそばなら、どっちがいい?」
「海鮮焼きそばがいいわ」
母は「立派なホタテが入っている」と、何度も喜び、旺盛な食欲でたいらげた。
海鮮焼きそば
冷凍のシーフードミックスをたっぷり使った、家庭でも簡単に作れる海鮮焼きそばです。オイスターソースを使うことで本格的な味になります。焼きそばのめんには油分があるので、油は引かずに炒めてください。
材料 2人分
中華蒸しめん 2玉
ミックス野菜 1/2袋(120g)
冷凍シーフードミックス 200g
キクラゲ(乾燥) 2枚
ごま油 大さじ1
オイスターソース 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
塩 少々
水溶き片栗粉 小さじ2
作り方
- シーフードミックスを流水で解凍する。キクラゲは水で戻し、細切りにする
- フライパンを弱火で熱し、めんをほぐしながら広げ、軽く焦げ目がついたら器に盛る
- フライパンは洗わずにごま油を入れ、水気を切ったシーフードミックスとキクラゲを炒める。表面の色が変わってきたら野菜を加えて炒め合わせ、オイスターソース、しょうゆ、塩で味つけし、水溶き片栗粉を回しかける
- 2のめんに3をのせる