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認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

納豆嫌いになった母のいぬ間に香りぷーんと…認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。好きなものを遠慮なく食べることは、私が私を取り戻す大事な儀式。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

にらたま納豆どんぶり

もともとフリーランスで仕事をしているので、どこにいても原稿は書ける。そう思い、実家で母の介護をすると決心した。3カ月か、半年か、1年になるのか見通しがつかないまま、夫に二匹の愛猫の世話を頼んで、東京の自宅から横浜の実家に戻った。早朝の仕事や出張に行けないという時間の制約があったが、なんとか仕事量を維持しながら続けられた。
母がデイサービスに出かけてからはひとりの時間。都内で取材や打ち合わせがなければ、実家で原稿書きをする。実家に戻ったばかりの頃は、気分転換を兼ねて外食にしようと思っていたが、そのような余裕はなく、仕事時間を少しでも多く確保するため、昼食は自炊する日がほとんどだった。
母の居ぬ間によく作っていたのが納豆とにらを炒めたどんぶり。ある時から母が納豆のネバネバを気持ち悪いと嫌がるようになってしまい、ふたりでいるときは納豆を控えるようにしていた。でも、私は毎朝欠かさず納豆を食べていたので、昼になると納豆が食べたい!!という欲望がむくむく沸き上がることがあった。そんなときはこのどんぶりを作り、納豆のにおいをプウンとさせながら食べる。これぞ幸せ。
介護中は自分のことはついつい後回しになってしまう。食べたいものを食べるということが、こんなにも気持ちを満たすものだと気づいた。

にらたま納豆どんぶり

たんぱく質も野菜も一緒にとれるパワーアップどんぶりです。味つけは付属のタレを使えば誰でも失敗なく、簡単にできます。納豆を焼くときは少なめの油で。焼くことで香りも粘りもしっかり感じられて、納豆好きにとってはたまらない味に。

材料 1人分

温かいごはん 茶碗1杯分
卵 1個
納豆 1パック
にら 4本(20g)
ごま油 小さじ1弱

作り方

  1. にらは長さ4cmに切る。器にごはんをよそう
  2. フライパンにごま油を熱し、半熟の目玉焼きを作り、ごはんにのせる
  3. 同じフライパンで納豆とにらを炒め、付属のタレで味つけする
  4. 2の上に3をのせる

器協力:我妻珠美

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