介護ヘルパーさんは80歳。魚のマリネと思い出の味 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん
撮影/百井謙子
フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。在宅介護を乗り切るための、私にも母にも美味しい下準備。
※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません
母は要介護4。日中はデイサービスを利用し、帰宅するタイミングでヘルパーさんに待ち受けてもらい、平日のうち何日かは、夕食作りをお願いしていた。
その間、私は横浜の実家から都内の自宅に電車を乗り継いで戻り、2匹の愛猫をなでて、夫の食事を作り置きしたり、仕事をしたり、友達と会う時間に充てていた。
子育て世代にとっての保育園と同じ、在宅介護はデイサービスと訪問介護がなければ乗り切れない。
母の担当ヘルパーさんは3人いて、Tさんは母よりずっと年上の80歳。更年期をきっかけにうつ病にかかり、その後、人の役に立ちたいと介護の資格を取得したのだと身の上話を打ち明けてくれたことがあった。母のことを「きょうちゃん」と下の名前で親しみを込めて呼び、料理の味つけも母好みの薄味だった。
残念なことに夏の終わりに咳が止まらないと言って辞めてしまったのだが、今はどうされているだろう。
訪問介護の利用時間は1回45分と短かったので、あらかじめ魚のオイルマリネを作っておき、ソテーしてもらうだけにしておくこともあった。
たいのオイルマリネのソテー
たいなどの白身魚や生さけは、ポリ袋に入れて塩、こしょうをしてからオリーブオイルでマリネしておくと、2日ほど日持ちして便利です。冷蔵庫に魚のマリネがあればあっという間にメインのおかずができあがります。
材料 2人分
たい(切り身) 2切れ
塩・こしょう 各適量
オリーブオイル 大さじ1と1/2
にんにく(薄切り) 1/2かけ分
ほうれん草 80g
バター 大さじ1
しょうゆ 2~3滴
作り方
- たいは皮目に切り目を入れて、塩、こしょうをふり、ポリ袋に入れてオリーブオイルをなじませ、にんにくを入れ、冷蔵庫で半日以上置く
- フライパンに1の皮目を下にして入れ、強火にかけ焼き色をつける。水を大さじ1入れてふたをし、中火で7分ほど焼いて火を通す
- フライパンは洗わずにバターを溶かし、ほうれん草を炒め、しょうゆをたらす
- 器に3を敷き、たいを盛って、あればレモンの薄切りをのせる