病院通いは大変だから 体を温める肉豆腐 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん
撮影/百井謙子
フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。寒暖差が激しい初秋。肌寒い日には、体を芯から温める一品がおすすめ。
※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません
実家に戻って認知症のある母と一緒に暮らし始めた頃、母が「左の下腹部が痛い」と訴えてきたことがあった。大きな病気が隠れているのかもしれないと心配になり、一緒にタクシーで近所の病院へ。X線写真を撮ることになったのだが、母が服を脱いでひんやりする撮影装置に体をつけるのを嫌がり、「何するの!」と大きな声を出して強く抵抗した。小さな病院だったので、病院スタッフも待合室の患者も全員が母の言動に注目し、私はぺこぺこ頭を下げた。
結局のところ痛みの原因は便秘によるものだとわかり、下剤を処方してもらい、便がしっかり出たら痛みは消えた。本人は不調をうまく伝えることができないので、私が母の体調を推し量る必要がある。
病院に連れていくことがあまりにも大変だったので、日頃から快食・快便・快眠を心がけ、体調管理を徹底していこうと心に誓ったことをよく覚えている。
9月下旬に急に肌寒くなり、10月下旬並の気温まで下がった日があった。母が青白い顔をしていたので、夜ごはんは体が温まる肉豆腐にした。
肉豆腐
水を加えずに作るので味がぴたりと決まり、甘辛い味つけで白いごはんも進みます。アツアツで出すよりも少し冷ましてから出すほうが食べやすいでしょう。肉豆腐の余った煮汁で切り干し大根を煮ると、副菜がもう1品できますよ!
材料 2人分
牛切り落とし肉 160g
木綿豆腐 1/2丁(150g)
玉ねぎ 1/2個
サラダ油 小さじ1
しょうゆ 大さじ2
みりん 大さじ2
酒 大さじ2
砂糖 大さじ1と1/2
おろししょうが 小さじ1
絹さや(ゆでる) 1枚
作り方
- 豆腐は6つに切る。玉ねぎは縦半分に切ってから、繊維を断ち切るように薄切りにする
- しょうゆ、みりん、酒、砂糖を混ぜ合わせる
- 鍋にサラダ油を入れ、牛肉をさっと炒める。豆腐と玉ねぎを入れたら2とおろししょうがを加えて弱火にする
- 煮立ったらオーブンシートやアルミホイルなどで落としぶたをして15分ほど煮る
- 器に盛り、絹さやを半分に切ってのせる