認知症とともにあるウェブメディア

お悩み相談室

認知症の夫が孫を送り迎え 事故が起きたらと心配 専門家が答えます

先生のお話を聞く幼稚園児のイメージ

見守り支援を行う梅澤宗一郎さんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.夫(74歳)が認知症と診断されました。本人は病気の自覚がなく、孫の幼稚園の送り迎えをやりたがります。危なっかしく、孫にもしものことがあったら大変なのでやめさせたいのですが、どう言えばいいでしょうか。(70歳・女性)

A.ご主人は、かわいいお孫さんのために、そして忙しい息子(娘)夫婦のために役に立ちたいと考えているのかもしれませんね。その思いを大切にするためにも、送り迎えをやめさせるのではなく、誰かが一緒に付き添うなど継続できる方向で考えるというのはいかがでしょうか。たとえ認知症と診断されてもできることはたくさんあります。例えば、ご相談者の方がついていけるのであれば「孫の送り迎えは今の時期しかできないから、私も行きたいのよ」とあくまでもご本人の自尊心を傷つけないように提案してはどうでしょうか。「危ないから」「心配だから」という理由ではなく、「自分が行きたい」というスタンスで気持ちを伝えたほうが、受け入れてもらいやすいと思います。

この相談内容だけでは分かりませんが、ご相談者の方だけが心配しているという状況にはなっていないでしょうか。一人で悩んでいるのはつらいので、息子(娘)夫婦ともご主人の状況を共有して、何でも相談していけるといいですね。

まだ70代で送り迎えができるということを考えると、認知症であることの自覚は少しずつ持っていただいたほうが、いいかもしれません。ただ、告知されることによってうつ状態になってしまう方もいるので、伝え方はご本人の性格なども考えて、ご家族でよく相談してから進めてみてください。例えば、医師から説明してもらう方が、スムーズにご本人に伝わるケースもあります。伝えられたとしても、誰がどのように繰り返し伝えていくかは、介護の専門職と相談しながら進めることも大切です。
受け入れることは簡単ではありませんが、ご本人とご家族で一緒に認知症と上手に付き合っていくことも一つの考え方かもしれません。
認知症になったら終わりではありません。このような機会にご家族で向き合うことで、家族として個人としてないものを見るのではなく、今あることを大切にしてください。お一人で悩まないでくださいね。

【まとめ】認知症の夫が孫の送り迎えをすることが心配 

  • 認知症と診断されてもできることはたくさんある
  • 本人の気持ちを大切にして、送り迎えを継続できるサポート
  • 一人で悩まない

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア