何度も繰り返す、認知症の人の思い出語り。本当にいつも「同じ話」?
《介護施設で働く漫画家、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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木村さんはその話をするとき、イキイキされる。きっと、一番幸せな思い出なのだろう。

年を重ね、木村さんのお話は短くなっていった。そして、ついにそのお話もされなくなった。

とっておきの話がある方は幸運だ。何度でもその幸せを呼び起こせる。
認知症を深めた方が、同じ話を繰り返すことがよくあります。
でも本当にいつも「同じ話」なのでしょうか?
よく伺うと話のベースは同じでも、
その日によって状況のとらえ方が変わっていたり、
内容が足されていたり、引かれていたりします。
繰り返されるお話は、介護者がその方の今を知る、入口になると感じています。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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