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認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

介護の食卓に居酒屋メニューをどうぞ 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。雰囲気も、お料理も楽しめる居酒屋は、食事作りもサボれてバンザイ!

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

豆腐の卵とじ

母が「これ以上、元気になったら困る」と言うようになったのは、私が実家で一緒に暮らすようになって9カ月目だった。青白くやせこけた顔がふっくらし、肌つやもいい。表情が豊かになったし、多少チグハグながら会話も続くようになってきた。当時はまだ歩けたので外出が増えた時期もあった。

自宅からタクシーで5分のところにある赤提灯の居酒屋に何度か出かけたことがある。母は腸閉塞の手術をしてから「お酒が飲みたい」と言わなくなったが、ワイワイとした居酒屋の雰囲気は若い時から好きなのだろう。店の隅に備え付けられたテレビを観ながら談笑する男性客らを見て「男たちが楽しそうね」と笑う。

居酒屋はメニューで季節を感じることもできるし、料理がスピーディーに出てくる。私は食事作りをサボることができる。居酒屋バンザーイ!

母がとりわけ気に入っていたのが「豆腐の卵とじ」だった。
「めずらしくて、名前が面白くて笑っちゃう」というのが、好きな理由。
家でも時々、母が好きな居酒屋メニューを再現していた。
「豆腐の卵とじだよ」と言うと、母はいつも笑ってくれた。

豆腐の卵とじ

牛肉や野菜を入れたらすき焼きのようになりますが、豆腐だけでいさぎよく。濃いめの味で食欲がないときでもごはんが進みます。めんつゆで味つけしてもOKです。冷凍のグリーンピースを加えて彩りよく。

材料 2人分

木綿豆腐 1丁
溶き卵 3個分
冷凍グリーンピース 40g
だし汁 250ml
みりん 大さじ2
しょうゆ 大さじ1
砂糖 小さじ1

作り方

  1. 豆腐は水切りして、2cm角に切る
  2. 鍋にだし汁、みりん、しょうゆ、砂糖を入れて火にかけ、砂糖を煮溶かす
  3. 豆腐、凍ったままのグリーンピースを加えてひと煮立ちしたら、溶き卵を回しかけて半熟のうちに火を止め、ふたをして2〜3分蒸らす

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