料理が苦手でもOK!ヘルパーが勧める「いいこといっぱい!」の冷凍食品
新卒で入社した出版社で、書籍の編集者一筋25年。12万部のベストセラーとなった『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(多良美智子)などを手がけた編集者が、40代半ばを目前にして、副業として訪問介護のヘルパーを始めました。今回は、ヘルパーとして働く中で重宝している冷凍食品についてです。
ヘルパー業を始めた当初は、病院やデイサービスへの送り出しなど、短時間のサービスを担当していました。やがて、仕事に慣れてくると、事業所から「お食事の用意もありのお宅を、お願いできますか」と声がけされました。
おー、いよいよ来たかぁ。訪問介護において、「食事の用意」はよくあるサービス内容です。ワーキングマザーとして一応の料理歴はあるものの…。私は料理が得意ではありません。レパートリーは少ないし、手際も悪い。お客様に「◯◯を作って」とリクエストされても、パパッと作れる自信がまったくない…。
「私、料理はあまりうまくないんですけど、大丈夫でしょうか?」とおそるおそる言うと、「大丈夫ですよ」と笑う職員さん。
「そんな手のこんだ料理をお願いすることはありませんから。誰でもできる、簡単な調理になります」とのこと。
そうなんだ、よかった。
3年以上ヘルパーを続けた今現在、私が担当した中で、1回の訪問のサービス内容が「食事の用意」だけというお宅はありませんでした。これは私の所属する事業所が要介護度の高いお客様が多いということもあるかもしれません。仮に1時間のサービスの場合、そこにおむつ交換や更衣介助、洗濯、掃除なども組み込まれているものです。食事を用意した後、それをお客様が召し上がる時間もあります。限られたサービス時間の中で、料理にそう時間をかけるわけにいかないのです。
一からていねいに料理をするのは難しい。そこで、市販品に頼った、ごく簡単な調理で対応することになります。ご本人、ご家族にもそのようにご理解いただきます。
冷凍食品のおかずが便利で重宝 味もいい
食事の用意で、非常に重宝されているのが「冷凍食品」です。これも私の経験上での印象ですが、ご家族が冷凍食品を購入して、準備しておいて下さることが多かったです。
私も日常的にお弁当のおかずに利用していますが、今の冷凍食品はとてもおいしいです。からあげやしゅうまい、コロッケなど種類もいろいろあります。
あくまで個人的な感想ですが、からあげはとくに人気のおかずで、冷凍食品メーカー各社がしのぎを削っており、おいしいものが多いなと思っています。定番の醬油味はもちろんのこと、甘酢だれだったり、レモン味や塩麴漬けだったり、味付けも様々なものが売られています。
私が通うWさん宅では、冷凍からあげを常備しています。Wさんは食の細い方で、なかなか箸が進まず、残されることも多いのですが、からあげは大好きで、いつも喜んで完食されます。丸ごとではかみづらいため、4等分くらいにカットしてお出しします。
保存が利き、量が調整できる
味だけではありません。冷凍食品には他にも良い点がいっぱいあります。
ヘルパー目線で言いますと、「量を調整できる」ところが、とても良いのです。Wさんのように、高齢者は食の細い方が多く、一度にたくさん食べられません。その時々の体調やおなかのすき具合にも左右されます。冷凍食品なら、召し上がれそうな分だけを使うことができます。
Wさんにからあげをお出しするときは、いつも2個です。3個だと残されることがあり、自然とそうなりました。
そして、なんといっても、冷凍食品は「保存が利く」のが素晴らしいです。
食事の用意ということでは、公的介護保険サービスでは、その都度スーパーなどでお弁当やおそうざいを買ってくる「買い物代行」も利用が可能です。しかし、ただでさえサービス時間が限られる中、買い物代行を入れると大きく時間をとられ、他のサービスができなくなってしまいます。ご家族が買ってくるというケースもありますが、お弁当やおそうざいは消費期限が短いため、まとめ買いができず、買い物回数が増えて大変です。
その点、冷凍食品であれば、一度にたくさん購入してストックしておくことが可能です。買い物回数も減らせます。
パックご飯と並べて立派な1食分に
冷凍おかずは、からあげなどの主菜だけはありません。野菜を使った副菜の冷凍食品もあります。あるお宅では、ホウレンソウを調理して冷凍した市販品が大活躍でした。1袋の中に、おひたしやごまあえなど、数種類の味付けで調理されたものが入っています。カップに小分けされていて、その量の少なさも高齢者にちょうどいいのでした。
そして、ご飯は、これは冷凍ではありませんが、便利で保存の効くパックご飯が便利です。100~120gくらいの小盛りサイズが高齢者向きです。
冷凍からあげとホウレンソウのおひたし、それにパックご飯を各々温めて器に盛り、食卓にお出しすれば、立派な1食分の出来上がりです。
もちろん、毎食このパターンでは飽きてしまうかもしれません。実際には、1日のうちの1食は宅配弁当、というお宅もあります。デイサービスに通われていれば、そこで昼食を召し上がってきます。トータルで考えた場合、「食事のバラエティ」として、冷凍食品の利用は、介護の現場でも、全然ありだと思っています。