もっと知ろう認知症基本法 その4
2024年1月1日、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(認知症基本法)が施行されました。この法律では、「国民の責務」(みんなの責任)として、共生社会の実現を推し進めるために必要な認知症に関係する正しい知識や認知症の人に関係する正しい理解を深めるとともに、共生社会の実現に力を尽くすよう努力する責任があることが定められました。すでに認知症のある人とともに歩んでいる人も、「まだ、認知症ってよく分からないな」と感じている人も、まずは、認知症基本法を読んでみませんか。
9月は同法で定められた「認知症月間」、9月21日は「認知症の日」です。
福祉ジャーナリストの町永俊雄さんが作成してくださった、認知症基本法の全四章の条文を日常の言葉で記した「わかりやすい版」の文章に、若年性認知症当事者で京都府認知症応援大使の下坂厚さんが撮影した写真を添えてご紹介します。
その4は、認知症に関わる施策を計画的に推し進めていくために設置される認知症施策推進本部について記された第四章です。
附則では、国は、この法律が施行されてから5年をめどにして、認知症の人や街や社会がどう変わったのか、変わらないのかを検証し、必要ならば新たな策を考え、行うことなどが記されました。共生社会の実現に向けて、不断の取り組みが求められているのです。
※認知症基本法ができた背景などを詳しく知りたい方は、特集「共生社会の実現を推進!認知症基本法」をご参照ください。
共生社会の実現を推進するための認知症基本法
(認知症基本法:わかりやすい版)
第四章 認知症施策推進本部(認知症の基本計画をつくり実行するための本部)
第二十六条 設置 (本部をどこに置くのか)
認知症に関わる施策を計画的に推し進めるため、内閣(内閣総理大臣と各大臣が話し合って、この国の政治について決めるところ)に、認知症施策推進本部(以下「本部」といいます)を置きます。
第二十七条 所掌事務 (本部の主な仕事)
本部は次に書かれた仕事をします。
一 基本計画の案をつくり実行します。
二 国や都道府県市町村が基本計画に基づいて認知症に関わる取り組みや活動を行い、また、その評価をします。
三 認知症施策で重要な取り組みの企画や立案をします。
2 本部は、次の場合にはあらかじめ、認知症施策推進関係者会議の意見を聞かなければなりません。
一 基本計画の案をつくるとき。
二 基本計画の結果を取りまとめる時。
(※ 第二十八条 組織に関する部分は略)
第二十九条 認知症施策推進本部長
本部の責任者は、認知症施策推進本部長(以下「本部長」といいます)とし、内閣総理大臣がその役割にあたります。
2 本部長は、本部の仕事を取りまとめ、本部メンバーの指揮と監督をします。
(※ 第三十~三十二条 認知症施策推進副本部長や推進本部員などに関する部分は略)
第三十三条 認知症施策推進関係者会議
本部に、認知症施策推進関係者会議(次からは、「関係者会議」とします)を置きます。
第三十四条
関係者会議は、20人以内の委員でつくります。
2 関係者会議の委員は、認知症の人と家族などや、認知症の人の相談や介護、診療などの保険、医療、福祉の仕事にあたる人々とその他の関係者の中から、内閣総理大臣が任命します。
3 関係者会議の委員は、必要に応じて集まる非常勤とします。
附則(その他、付け加えること)
施行期日(この法律の効力が発生する日)
1 この法律は、公布の日から数えて、一年以内に政令(政府が出す命令)で決めた日から効力を持ちます。
検討(この法律についてなお必要だと思われること)
2 認知症施策を進めるための内閣に置かれた認知症施策推進本部(「本部」といいます)は、この法律を施行して5年を目途として改めて総合的な議論がされ、その結果に基づいて必要な具体策を考えます。
3 その他、国は、この法律が施行されてから5年を目途にして、この法律が実際に行われて、認知症の人や街や社会がどう変わったのか変わらないのかを検討し、必要なら新たな具体策を考え、行うこととします。