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独身の私が認知症の母と暮らすべき?伯母に言われ困惑【お悩み相談室】

電話をするひと、Getty Images
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認知症介護指導者の椎名淳一さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

 Q.一人暮らしの母(80代)が認知症と診断されましたが、このまま自宅でデイサービスなどを利用して、限界がきたら施設に、と考えています。しかし伯母は「独身のあなたが一緒に暮らしなさい」と言います。早くに父を亡くし、お世話になった伯母の言葉なので無視できません(50代・女性)

A.認知症のお母さんが一人暮らしを続けることについて、リスクの面だけを見ると、伯母さんが心配する気持ちもよくわかります。しかし大事なことはまず、お母さんがどうしたいのかということです。本人が一人暮らしを続けるのが不安ということであれば、施設への入居を検討したほうがお母さんは安心して過ごせるかもしれません。伯母さんは同居を提案していますが、相談者の生活も大事です。自分の生活を犠牲にしてまで、お母さんのいる実家に住むことはありません。相談者の家で同居する方法もありますが、環境の変化はお母さんにとって大きなストレスとなり、心身の状態が悪化する可能性があります。

本人が住み慣れた自宅で過ごしたいということであれば、相談者の考えている通り、デイサービスやホームヘルパーなど介護保険サービスを利用して、一人暮らしを続けるのは不可能ではありません。近所の人に事情を伝えておく、自治体や民間の見守りサービスを利用するなど、環境を整えておくことで、一人暮らしで起こりうるリスクを回避することができます。もちろん、相談者がこまめに連絡をとる、時間ができたときには帰省するといったことも大事です。

伯母さんには、お母さんの気持ちをふまえて相談者が決めたことを、できるだけていねいに伝えられるといいですね。ケアマネジャーも同席してもらい、専門的な立場から一人暮らしを続けるためのケアプランなどを説明してもらえると、伯母さんも納得できるかもしれません。お母さんが具体的にどういう状態になったら施設への入居を検討するのかというところまで話し合っておけると、より安心できるのではないでしょうか。

また、認知症について正しく理解できていないと、「認知症=何もできない、何もわからない」と捉えてしまう場合があります。もしかしたら伯母さんもこうしたイメージがあり、心配しているのかもしれません。理解を深めるために、地域で開催されている認知症サポーター養成講座を相談者と伯母さんで一緒に受講するのもおすすめです。

今後、お母さんを見守っていくなかで、苦労すること、迷うことが出てくるでしょう。そんなとき、これまでお世話になってきた伯母さんは、頼りになる存在なのではないでしょうか。伯母さんに納得してもらうのは大変なことかもしれませんが、良好な関係を続けるためにもていねいに説明することを意識してほしいと思います。 

もちろんお母さんが自身の生活に不安を覚え、娘のサポートなくしては生活ができず、さらに自宅での生活を優先すべき理由がある場合は、本人の意思を確認しながら相談者との同居も1つの手段となるのではないでしょうか。

【まとめ】一人暮らしの母が認知症と診断され、伯母から「独身のあなたが一緒に暮らしなさい」と言われたときには?

  • お母さんの意思を確認するとともに、相談者は自分の生活を大事にすることを優先する
  • お母さんが自宅での暮らしを続けたいということであれば、安心・安全に一人暮らしができるように環境を整える
  • ケアマネジャーに同席してもらい、相談者が決めたことやお母さんが一人暮らしを続けるために利用するサービスなどについて、伯母さんにていねいに説明する

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫

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