実はみんなが抱えるおしもの問題 年を重ねた体に合わせた過ごしかた
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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「今年もお花見に行きましょうよ!」
春風が肌をなでる午後、ウキウキと友人に誘われた。
つられて浮き立ちそうになる気持ちが、しゅんとしぼむ。
うーん、外出か。どうしよう。
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だって最近、
尿漏れが気になって仕方ない。
今まで誰にもばれないように、
生理用ナプキンを使ってはきたが、
今日も間に合わなかった。
情けなさで、毎日気持ちは沈んでいくばかり。
もう遠出なんて、私にはかなわないのかも。
——でも、そんなとき。
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私の気持ちを察した友人が、あっけらかんと教えてくれた。
「いやだ、私たちそれくらい、
リハビリパンツや尿とりパッドでどうにでもなるわよ」
友人のスマホには、ポチリと購入も簡単な通販のページ。
歳を重ねたからこそのあかるい工夫が、
まだまだ私の毎日を、花開かせてくれるらしい。
ただ知らないだけ、ということが、
日々を楽しむ意欲そのものを奪っているとしたら、
それは、本当にもったいないことです。
歳を重ねれば誰にでも起こりうる、尿漏れ。
それは年輪を重ねられた勲章なのですから、
適宜、尿とりパッドやリハビリパンツを使えば問題はありません。
みな「お下(しも)のことだから」とあえて口にしないだけで、
実は多くの方々が自然に通っている、年寄るからだに合わせた過ごしかたなのです。
それでももし、それらを購入するとき、
人目を気にしてしまうのであれば、今は通販だってあります。
ちなみに、外出先でリハビリパンツや尿とりパッドなどを汚してしまった際の持ち帰り方法ですが、
気になるのは臭いでしょう。
その場合も薬局で売っている、赤ちゃんのオムツを捨てるために作られた、防臭のポリ袋があります。
これにいれて持ち帰れば、簡単にすむことです。
からだのモヤモヤは、
使えるものを気軽に利用して、スッキリと。
くよくよするより、よっぽど、
建設的に楽しい毎日を過ごせるはずです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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