ワーママ経験生かし突破! コロナ禍の介護職員初任者研修は自宅学習から
新卒で入社した出版社で、書籍の編集者一筋25年。12万部のベストセラーとなった『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(多良美智子)などを手がけた編集者が、40代半ばを目前にして、副業として訪問介護のヘルパーを始めることを決意しました。働き始めるために必須とされたのが「介護職員初任者研修」の受講。まずは、自宅学習のお話から——。
届いた教材 分厚いテキストが3冊
申し込んだのは2020年の11月に開講のコース。11月となり、いよいよ教材一式が送られてきました。本来なら、開講と同時にスクーリング(通学)が始まるのですが、コロナ禍でスクーリングの回数が15回から10回に減ったため、スクーリングは12月から。それまでの1カ月は自宅学習となりました。
届けられたのは、かなり分厚く重いテキスト「介護職員初任者研修課程テキスト」が3冊。1~3の番号がふられています。どんな内容か、ざっと見てみると…。
テキスト1のタイトルは「介護・福祉サービスの理解」。介護とは何か、介護職の役割、介護保険制度のしくみなど、基礎知識がまとまっているようです。さらに、介護を受ける人の人権尊重など、職務倫理的なことについても記されていました。
テキスト2は、「コミュニケーション技術と老化・認知症・障害の理解」。タイトル通り、介護におけるコミュニケーションと、老化による心と体の変化、認知症の症状、視覚障害や精神障害など障害についてでした。高齢者をより詳しく理解する巻のようです。
そして最後のテキスト3。もっとも重量感がありました。タイトルは「こころとからだのしくみと生活支援技術」。食事介助や排泄(はいせつ)介助など、具体的な介護の方法がイラスト図解付きで載っています。このテキストが山場、といった感じがしました。
…初任者研修とは、こういうことを学ぶものなのかぁ。
締め切りは先だけれど、前倒しで全課題を終えてしまうことに
さらに「自宅学習課題」という冊子がありました。介護職員初任者研修は全体で130時間とされていますが、一部は自宅学習で行います。この冊子には、問題が掲載されており、該当するテキストページを読んで解く形。解答用紙を事務局に提出して、自宅学習を終えたということになります。スクーリングがカットされた5日分の講義内容が、自宅学習に割り振られたこともあり、冊子に載っている問題数は約50問に上りました。
課題の提出は、一度にではなく、5回に分けてすればよいことになっていて、3回目以降の提出締め切り日はスクーリングが始まってからに設定されていました。
内容面では、テキストの基礎部分を網羅した感じで、多くが選択問題。それほど難しくはないけれど、講義を受けていないから、自分でテキストを読み込んで学習する必要がありました。いくつか記述問題もあり、内容を理解せずには解けないようになっていました。介護技術についての出題はなく、まずは基本の知識を身につけて、スクーリングに臨んでくださいということだと受け止めました。
課題提出の締め切りまでには余裕があるのだけれど、スクーリングが始まれば、週のうち1日は通学日にとられ、勉強時間を作るのが大変になるのが目に見えていました。なので、自宅学習期間中の1カ月で全課題を終わらせてしまうことにしました。久しぶりの勉強に気合も入ります。
本業では、十数年、編集長として課内の編集者の本作りに伴走しながら自分の本も出し、育児・家事を両立してきました。夕方5時には仕事を切り上げ、保育園や学童へお迎えダッシュ。ただでさえ時間がない中、本の校了前の佳境にかぎって、子どもが熱を出したり、仕事上のトラブルが発生したりする…。なんとか間に合わせる綱渡りを何度も経験してきました。とにかく忙しい毎日を破綻(はたん)させないためには、いつ突発的なアクシデントが起きても大丈夫なように、「前倒し」、つまり、何ごとも「早巻き」に進めるのが最大のリスクヘッジになるのだと気づきました。こうしたことから、締め切りが来るのを待たず、「できるときにやってしまう」のが習性になっていました。
スクーリングが始まる前に、週1ペースで平日に時間をつくり、問題を解きました。これも、平日の本業の稼働時間を減らす訓練です。無事、スクーリング開始前に全ての課題を提出し終えました。気がかりなくスクーリングに全集中できる態勢を整えることができました。
いつもこんな感じで早めに進行しているので、本業以外のこともする余裕がつくれているのかも。ワーキングマザーの日々をこなすのは大変でしたが、おかげで鍛えられました。そんなことも実感させられる編集者と学生の二足のわらじのスタートとなりました。