生きがいなんてどこに? 探し合う仲間の輪が広がった先にある幸せ
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
![今日もやることがなにも見つからない](http://p.potaufeu.asahi.com/314e-p/picture/28189986/93e64eb8b6acae025ed3b56e28f5ab2f.jpg)
やることがない。
デイサービスも肌に合わず、
家にいても、なにもやることがない。
食事の時間ばかり気になって、
うろうろしては、家族に煙たがられる。
だから、ついイライラして、
気も荒くなっていく。
![頬に手をあてるひと](http://p.potaufeu.asahi.com/c548-p/picture/28189984/281d564414ec0cf0c13871d6ddff2122.jpg)
「認知症の進行予防に、
生きがいを見つけたらいい」と
医者にも家族にも言われるが、
退職した今、そんなものどこにある?
若いときはたしか山登りが好きだった。
でも今は、山への興味も湧かない。
気力が薄れていくのを誰かに止めてほしいのに、
どうしたらいいのかわからない。
![写真を見るひと](http://p.potaufeu.asahi.com/5ac7-p/picture/28189985/5c0252069265287b76aaf90956987344.jpg)
ふいに、自宅の壁に目がとまる。
山の写真が飾られていた。
——こんなことをするのは、妻しかいない。
もう登れやしないし、思い出も薄れている。
それでもなんだかこの気持ちを
大切にしてみたくなった。
この胸にともった、小さな希望を。
「ひとりでいる時、なにもやることがなくて困っている」
認知症があるご本人や、
またはその様子を知るご家族から、
そんな悩みをよく聞きます。
特に、認知症があるご本人さんは、
日々の不便に自信を失うこともあるがゆえ、
「日々の生きがい」や「お気に入りのルーティン(日課)」が、
より、大切になってくるのです。
人生の余暇ができたとき、なにをするか。
誰もがその過ごし方を、思い浮かべたことがあるでしょう。
とはいえ、新しく生きがいを見つけたり、
または生きがいにつながるかもしれない、
好きなことや趣味を、ご自身で思い出すことが難しくなったりしている場合、
やはり、そばにいる人のサポートが必要になってくるようです。
ただ、それを、介護するご家族だけがになうのは、
荷が重すぎる気がします。
だからこそご家族だけで難しい場合は、ご本人に関わる人たちの手を借りて、
みんなで模索するのがよいように思います。
そんな輪がまわり始めたとき、
ご本人の意欲が、様変わりしてゆくのがわかるでしょう。
生きがいを探しあう関係。
それは認知症がある人だけでなく、
周りの人をも、幸せへ導くのではないでしょうか。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
![](http://p.potaufeu.asahi.com/nakamaaru/img/nakamaaru450_450.gif)