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副業ヘルパー

副業ヘルパーになるための第一関門 「介護職員初任者研修」にチャレンジ

食事を運んでもらうひと、Getty Images
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新卒で入社した出版社で、書籍の編集者一筋25年。12万部のベストセラーとなった『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(多良美智子)などを手がけた編集者が、40代半ばを目前にして、副業として訪問介護のヘルパーを始めることを決意しました。働き始めるために必須とされたのが「介護職員初任者研修」の受講。まずは、編集者と学生の二足のわらじを履くことになりました。

介護職員初任者研修とは?なぜヘルパーになるために必要?

「介護職員初任者研修」。これはいったいどういうものなのか?
インターネットなどで調べてみたところ、読んで字のごとく、介護職の初任者(初心者)が受ける研修とのこと。介護の理念から高齢者の心身や認知症への理解、具体的な介護方法まで、130時間かけて、介護職に必要な基礎知識、技術をゼロから学ぶものだそう。
修了試験はあるものの、落とすための試験ではないので、研修をすべて受け終えれば介護技術はたしかに身につき、ほぼ100%合格できるみたいです。

“訪問介護のヘルパーとして働くためには必須”とされている介護職員初任者研修ですが、実は老人ホームなどの介護施設の求人では、「資格不問」としているところが少なくないのですよね。つまり、介護職員初任者研修を受けなくても働き始められます。それはおそらく、施設では現場で仕事を教えてくれる先輩がたくさんいて、実地で介護スキルを身につけていくことができるからだろうと思います。
けれども、ヘルパーは基本的に、1人で訪問先に伺います。おむつ交換や入浴介助など、誰にも習わないでぶっつけ本番でできるはずがない。そんなヘルパーを派遣したら、事業所の責任問題になってしまう…。人様の自宅に上がり、第三者の目のないところで1人、介護サービスを完結させるヘルパーの「質を保証する」ために、初任者研修が必須となっているのだろうと、私は思います。

研修科目と研修時間が厳密に決められています/【研修科目及び研修時間数】1職務の理解(6時間)、2介護における尊厳の保持・自立支援(9時間)、3介護の基本(6時間)、4介護・福祉サービスの理解と医療との連携(9時間)、5介護におけるコミュニケーション技術(6時間)、6老化の理解(6時間)、7認知症の理解(6時間)、8障害の理解(3時間)、9こころとからだのしくみと生活支援技術(75時間)、10振り返り(4時間)、合計(130時間)
研修科目と研修時間が厳密に決められています

10日間のスクーリングが必須。働きながら無理なく通える週1コースで

さて、介護職員初任者研修は、研修を実施しているスクール(主に福祉系の専門学校や、介護事業を行う企業の教室)で受講することになります。
130時間が丸々スクーリング(通学)になるわけではなく、一部が自宅学習、スクーリングは15日間というコースが基本。ただ、当時(2020年)はコロナ禍だったこともあり、スクーリングは10日間に短縮されていました。
スクーリングは朝から夕方まで、1日ばっちりあります。平日ならば、その日は仕事を休まねばなりません。いかに自由のきく働き方をしているといえど、15日も休みをとるのは厳しい…。10日で済んだのは、大変助かりました。

とはいえ、10日でも、連続で休みをとるのは難しい。そんな私のような人のために、「週1回コース」というのが多くのスクールで用意されていました。たとえば月曜日を通学日にするとして、それを10週続けるということです。2カ月半の間、毎週1回のスクール通いとなります。
土曜日コースを選べば、平日仕事を休む必要もなくなります。しかし毎週、土曜の休日がつぶれるのはイヤだなぁ。体もきついし、ワーキングマザーとしては、休日にすることは色々あるのです。平日にできない大物の洗濯や食事のつくりおき。まだ当時はどちらも小学生だった子どもたちの相手を、夫に全部押しつけるわけにもいかない…。

休日に、平日のおかずをつくりおき。夕食づくりにバタバタしないように
休日に、平日のおかずをつくりおき。夕食づくりにバタバタしないように

私は平日コースを選ぶことにしました。週1回の休みを2カ月半。それなら、まぁ、なんとかなるかな。平日の本業の稼働日数は4日になるけれど、今後副業を始めたときの予行演習と思って、がんばってみよう。幸い、有給休暇はたんまり残っていたので、それを使わせてもらうことにしました。
スクーリング以外に自宅学習もあります。こちらは決まった時間にオンラインで授業に参加する必要はなく、テキストでの勉強を自分のペースで進めればいい様子。働きながら勉強時間をつくるのは楽ではないけれど、できるときに一気に進めていく感じでしょうか。まあ、なんとかやってみましょう…。

気持ちが冷めないうちに、近日開講のクラスを即申し込み

受講費用はスクールによってまちまちでしたが、5~7万円ほどが相場と見ました。安くはないけれど、雇用保険の教育訓練給付制度を利用すれば、何割か戻ってくる。それに、ヘルパーとして働き始めれば、すぐに回収できるだろう額です。
さらに、これは後から知ったことですが、私が住む地域では、自治体が介護職員初任者研修の取得を推進していて、取得後にすぐ介護の仕事に就くなど一定条件を満たせば、受講料の9割を助成してくれるとのこと。同様の自治体も多いみたいですね。どこの地域も介護人材不足なのでしょう。

いくつかのスクールにあたりをつけて、まずは教室の場所選び。それぞれのスクールで、複数の教室があり、講義開始が朝早いことを考えると、できる限り近くて通いやすいところを選びたい(裁量労働制で始業時間が決まっておらず、すっかり朝が遅くなった我が身には、9時過ぎスタートでも十分早い…)。次は、開講日。常に「思い立ったが吉日」で動く私。気持ちが熱いうちに、すぐ始めたい。熱しやすく冷めやすいのです。時間をおくと、「まぁやらなくてもいいか」となりがちで。
しかし、私の望む週1コースで、自宅から近く、近日開講の教室の多くはすでに満席。家からの近さは多少妥協しつつ、なんとか残席のある教室を探し当て、即申し込みました。

さあ、これで副業ヘルパーになるための第一関門、資格取得の環境は整いました。あとは自宅学習のテキストが届くのを待つばかり。
考えてみると、働きながら学校に通うのは初めての経験。学生になるなんて、それこそ大学を卒業して以来、二十数年ぶり。仕事と家庭、勉強の両立は忙しくなりそうだなとドキドキする半面、新しいチャレンジにワクワク感も膨らみました。

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