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想いをカタチに@品川~BLGの活動報告

麻雀大会
麻雀大会

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、東京都品川区にあるBLG品川(けめともの家・カンタキ西大井 看護小規模多機能型居宅介護)からの報告です。

こんにちは、BLG品川の石川です。

今回はN様との関わりについて話していきたいと思います。
N様は普段、居室のベッドでテレビを見て過ごされることが多いですが、会話を重ねると「一緒に外へ食べに行こう」、「部屋で飲もうよ」、「麻雀を久しぶりにやりたいね」とご自身がやりたいことなどを話して下さるようになりました。

まず、やってみたことは部屋での飲み会です。夜勤でご本人の泊まりの日に参加できるスタッフを募って、ご自身の居室でお酒とおつまみを用意し、飲み会を行いました。飲み会の間、ご本人から自分が若かったころのことなど色んな話を聞くことができ、例えば「学生のときの修学旅行で夜、ホテルから友達と一緒に外出して、所定の時間までに戻らず遊んで、戻ったら先生に怒られたことがあるよ」、「昔、野球の読売ジャイアンツで有名な長嶋一茂選手行きつけの焼き肉屋に家族で行って、ハラミとか色んな肉を食べたよ。あと、そのころに飼っていた犬にも肉を食べさせたよ」など、たくさん自分の話をして下さり、聞いていた私は「若いころはやんちゃでも家族思いだったんだな。」と思い、ご本人の一面を知ることができてうれしかったです。

部屋飲み会
部屋飲み会

次は「一緒に外へ食べに行こう」ということで、予定を事前に話し合い、中華チェーン店へ外食に行きました。普段、ホームでは室内で過ごされていることが多く、外に出る機会がほとんどなかったN様ですが、外食を通して外に出ることと気分転換も図ることができ、道中も会話が弾みました。「ここは味噌ラーメンとニラレバ定食が美味しいよ」とおすすめを話して下さり、私はおすすめのニラレバ定食、ご本人は「今日は軽くつまめるものがいいから、味付きメンマとネギチャーシュー盛り、餃子(ギョーザ)をお願いします」と話され、自ら食べたいものを選ばれました。

食事が進み、会話もあり、「ここは安いから昔は良く行って、必ず味噌ラーメンか、ニラレバ定食を頼んでたよ」と話して下さりました。食べ終えて店を出た後、ご本人から「今日は忙しい中、連れて来てくれてありがとね。また、一緒にどこか食べに行きましょう」と笑顔で話して下さり、私も本当に良かったと心の底から思いました。

外食
外食

次は「麻雀を久しぶりにやりたいね」と話され、スタッフの奥さんで麻雀が得意な人をお誘いして、麻雀大会を実施しました。

実際に私は麻雀初心者で基本的なルールしか分かりませんでしたが、スタッフの奥さんが麻雀教室の先生をされている方だったので、楽しくみんなについていくことができました。

N様は麻雀のポン・チー・カンなどの細かいルールを使って、一度だけ、1番に上がりの役を揃(そろ)えられることもありました。スタッフの奥さんがやはり強く、N様も「先生だけあって強いですね」と少し、悔しそうな様子が見られました。

麻雀を終えて、本人も「また、機会があればやりましょうね」と話され、私もそれまでに麻雀がもう少しできるようになって、ご本人と打ち合えるようになりたいと思いました。

N様の希望や想いがあり、可能なら叶(かな)えてさしあげたいという私の想いがあり、そうした想いを叶えることをきっかけに色んな話をして下さるようになり、関係を深めることができて良かったです。

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