「検討の先に・・・」@きのこ~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、宮城県仙台市にあるBLGきのこ(在宅複合施設「西部いこいの里」)からの報告です。
皆さんこんちには!BLGきのこの川崎です。今回は、今年から新たに取り組みを始めた幼稚園の美化活動についてお話ししたいと思います。
始まりは私たちの施設と幼稚園が、年に2回程度世代間交流をしましょうというところからでした。当初、BLGきのことして直接繋がりがあるわけではなく、これはチャンスだと、1回目の交流会を終えた帰りに園長先生に声をかけたところ、「デイサービスの方がそんな活動をされているんですね!持ち帰って検討してみます」と、前向きな返事をいただきました。これまで地域との繋がりを模索する中で、肌感覚で分かってきたことがいくつかあります。それは、一度声をかけただけじゃ何も生まれないということ。
後日、私たちの方から打ち合わせの連絡をさせていただき、【検討】という便利な言葉に負けぬよう、幼稚園向けに活動紹介資料を見直し、「幼稚園の外や中の掃除は?」「昔遊びもいいかも!!」等、メンバーさんが出来ることやしたいことを自由に挙げてもらい、作戦を練りながら出陣の機会を伺いました。予定を組み、いよいよ初陣。
初めての地に緊張気味のメンバーさん。おまけに場所は、大人になってもなぜか緊張する職員室。こうなるだろうと、園児たちの元気いっぱいな声に緊張をほぐしてもらうこちらの作戦が、まさかお昼寝のタイミング!「ありゃ、子どもが1人もおらんが!!」「少子化ですからね~(汗)」なんて言いながら打ち合わせが始まりました。幼稚園側からは、園内の草とりや落ち葉拾いが一番困っているとの話しがありました。また、年間を通して私たちと交流できる可能性のある行事の提案までしていただき、私たちが想像していた以上に多くのことを考え、受け入れてくれたことにとても感動しました。メンバーさんからも、「まあ、1回やってみんことには分からんなー」と【検討】はせず、こちらも前向きに考えてくれ、非常に有意義な時間となりました。
現在、園内の草とりや落ち葉拾いを中心にボランティアとして社会参加活動に取り組んでいます。幼稚園はどうしても男手が足りないからと、年間の一大イベントである焼き芋行事で使用するための穴掘り作業を頼まれたこともあります。「草取りは昔からしてきとるからなんぼでもできるで!」「道具が足らんから次は家から鍬を持ってくるわ!」と、意気込むメンバーさんもおられます。最初は見ず知らずの私たちに近寄ってこなかった園児たちも、今では慣れて挨拶をしてくれたり、自分のことを話してくれる子もいます。そんな中、いつもお世話になっているおじいちゃんおばあちゃんへと、園児たちからダンスのプレゼントを披露してくれました。メンバーさんにとっても園児たちにとっても、その日は少し特別な時間であったように感じます。
こうして始まった幼稚園の美化活動。もとをたどればすべてが【検討】で終わっていたかもしれません。検討することは大切ですが、検討の先には行動があり、行動の先には繋がりがあることを改めて実感することができました。幼稚園との繋がりを通して、これまで一度声をかけて諦めていた方々にも、もう一度メンバーさんとトライして地域と繋がる可能性を見い出していきたいです。来年も少しずつ、メンバーさんと共にBLGきのこを前進させていきます。