認知症とともにあるウェブメディア

50代でも変身できる 学び直しで成長し続けたい YouTubeやInstagramを使いこなす 50代のペルソナ像【project50sインサイト調査】

なかまぁるのサブブランド「project50s」が50代にフューチャーしたインサイト調査を実施したところ、ライフシフトで重要な要素となる「変身資産」(変わろうとする意思や能力)の自己評価が40代や60代と比べて高いことが分かりました。自分にとってのライフシフトは、転職や移住ではなく、「仕事から趣味へ重点を移す」、「学び直し」、「サードプレイス(自宅や職場とは別の場所)での活動」でした。主体的に活動するコミュニティは、「趣味の集まり」「スポーツ・スポーツクラブ」「勉強会・学びの場」に続き、「SNS」が入りました。一方、これからの人生における住まい方は、現在の持ち家で暮らし続けたい人が圧倒的に多く、1カ月に自由に使えるお金は1万円~3万円未満という人が一番多いという結果になりました。情報収集のルートは、地上波テレビ、新聞と続くものの3番目に「YouTube」4番目に「Instagram」が入りました。1986年から1990年代にかけてバブル景気にわいたときに学生や社会人になった「バブル世代」がミドル世代の中核となり、思考や志向、消費やコミュニケーションのスタイルを急速に変えていることが浮かび上がりました。

男女ともに仕事をしている世代

このインサイト調査は、朝日新聞社の「project50s」が実施しました。質問のジャンルは、「ウェルビーイング」「ソーシャルグッド」「ライフシフト」「ライフスタイル」「家族関係」「お金」「住まい」といったテーマで、みなさんが何に関心を持ち、何に時間を費やし、何に幸福感を得ているのかといったことなどについて、約60問(選択式、記述式含む)についてお聞きしています。

 調査は、202352日~528日で、インターネットを通じて、主に40代、50代、60代の人たちを対象に行い、497人から回答を得ました。そのうち、50代は243人、60代は175人、40代は71人でした。男性は217人、女性が268人で、「その他」「答えたくない」という人は12人でした。回答者の職業をみると、男性も女性も仕事をしていることが分かります。

このシリーズ「project50sインサイト調査」では、「50代の人」の調査結果を隣接する世代と比較または50代の中での比較とともに、追加でご協力いただいた26人の人たちへのインタビューの結果も含め、アラフィフや50代のインサイトを読み解いていきます。

心身の健康の変化や親の介護の悩みも顕在化し始める激変世代

なぜアラフィフ~50代のインサイトに着目するのか

アラフィフから50代の人たちの思考や行動が、日本の消費から政策までを動かす時代に入ってきています。

人口ピラミッドを見れば分かるように、64歳から年齢が下がるにつれて世代別人口が増えていくトレンドでそのピークとなる第2次ベビーブーム(1971年~1974年)に生まれた世代がアラフィフを迎えているからです。

人生100年時代にとって「50歳」はまだ人生の中間点です。その一方でさまざまなライフイベントがあります。人生のリスタートを切ろうと動き始める時期であり、自分自身の心身の健康の変化がある時期であり、親の介護といった悩みも顕在化し始める時期です。みなさんと一緒にアラフィフや50代のみなさんの「これから」を考えるプロジェクト「project50s」では、このインサイト調査の結果や追加で行われたインタビューをまとめた記事を、順次、紹介していきます。

みなさんと一緒に“つくる”“考える”“行動する”「project50s」

アラフィフや50sのインサイトにご関心がある方は「朝日新聞社シニア事業部 なかまぁる編集部project50s」にご連絡ください。(お問い合わせフォームは、なかまぁる編集部と共通のため、必ず、「project50sインサイト調査の件」と明記してください)

自分のことを知っていると考える世代

変身資産①

「変身資産」として3つの質問をしたところ、まず「自分のことをよく知っている」ことについては、40代は5点~4点の人が36.6%でしたが、50代は47.3%でした。60代は41.1%に下がっています。50代は自分の「強み」や「弱み」をよく知っていると考えているタイプの人が多い世代です。

多様なネットワークがウイークポイントの世代

変身資産②

「多様なネットワークを持っている」かについては、5点~4点の人を比較すると、40代、50代、60代といった世代の差はありませんでした。ここで注目されるのが、5点~4点をつけた人は、一番多い50代でも20.2%です。60代は17.7%、40代は14.1%です。これに3点を付けた人を加えると、やっと40代と50代が46%台、60代が48%台になります。晩婚化や高齢出産などにより50代も「子育て世代」といえる時代になっています。また「定年レス時代」に入ってきてもいます。60代だと「現役世代」として働いている人も多いことが影響しているのかもしれません。

新たなことに挑戦するマインドを持つ世代

変身資産③

変身資産の3つ目は「新たなことに挑戦するマインドがある」かという点についてです。5点~4点の人を比較すると、40代は38.0%、60代が39.4%なのに対し、50代は49.0%でした。「50代は老後の不安を抱えた世代」と位置づけられることが多いですが、このインサイト調査では、約半数の人が前向きなマインドがあることが分かりました。若い時代に、バブル時代のよい面だけでなく、バブル崩壊も経験しており、浮き沈みが激しい時代を過ごしてきました。また、採用や雇用の仕組むが柔軟になったり、円高で自由に世界を飛び回れたりする時代を20代に過ごしたことが、その人を形成するマインドに影響を与えた可能性があります。

学び直しで成長し続けたい世代

ライフシフト

この質問の回答で特徴的だったのが、「学び直し」を選んだ人が多い点です。同時に家庭でもない、職場でもない、「サードプレイス」(居場所)を求めること人も多くいました。この傾向は、「変身資産」で自分は新たなことに挑戦できるというマインドが強い人が多い50代の特徴と関連していると思われます。

また、「仕事から趣味へ重点を移す」ことを選んだ人が40代と比較して50代が多いのは、企業の中で次第に担う責任や役割が軽くなったり、若い職員に主たる業務を任せたりするような“空気感”を反映していると思われます。これは「昭和的な空気感」なのか、「セミリタイア的な空気感」なのかは、回答者によって分かれると思います。

SNSもコミュニティと考える世代

コミュニティ活動

「コミュニティ」に関する質問では、40代と比較すると50代は「趣味の集まり」「スポーツ・スポーツクラブ」「勉強会・学びの場」「SNS」で主体的に活動している人が多いのが特徴的でした。

コミュニティという言葉を聞いて地域活動を連想する人がいるかもしれませんが、50代はもっと行動的であると同時に、「SNS」上にコミュニティを持って主体的に発信している人が多いことが浮かび上がりました。

コミュニティのジャンルが「地域」ではなく、「関心事」や「ツール」でした。一方、50代の3割が「主体的な活動をしているコミュニティはない」という人たちで、この点は健康寿命やフレイル予防にも影響してくる「社会参加」に課題を抱えている、“フレイル予備群”ともいえます。

今の家で暮らし続けたい世代

これからの人生の住まい方

セカンドライフやサードライフで暮らす家(住宅)については、家族の数に合わせたサイズや便利な地域への住み替えを選択するのではなく、50代は49.4%の人が「今の持ち家で暮らし続けたい」と考えていました。60代になると、67.4%に跳ね上がります。主体的にシニアマンションやサービス付き高齢者住宅や介護施設などへの住み替えを考えている人は、現状ではまだ低い結果になりました。

自由に使えるお金は月1万円~3万円未満の世代

1カ月に自由に使えるお金

アクティブに暮らしていくためには、ある程度の出費も必要です。そこで1カ月に自由に使えるお金の金額を尋ねたところ、50代は男性も女性も働いている人が多いですが、1万~3万円未満の人が多いことが分かりました。

今回のインサイト調査では、趣味・志向について細かな質問をしていますが、この世代に消費行動を促す際は毎月3万円未満以内が目安となるラインであることが分かりました。「学び直し」「コミュニティ活動」などへの支出を考えると、実際に自由に使える金額はもう少し少なくなるのかもしれません。

「変身資産」で挑戦するマインドがある50代の人たちは、この時期にこの自由に使えるお金を自分に「投資」する感覚が強い世代ともいえます。

YouTube、Instagramで情報を得る世代

情報収集するメディア

「地上波テレビ」「新聞」を情報源とする人が多くいましたが、デプスインタビューをしていくと、テレビ番組ではドキュメンタリー系を好む傾向があり、新聞は「自分が関心のない情報も知ることができる」という利点を強調する人が目立ちました。デジタル時代になり、関心がある情報をスマートフォンにデリバリーしてくれる時代になりましたが、だからこそあえて関心がないことも知る大切さを知りたいと考える世代といえます。

この質問の回答で特徴的だったのは、情報収集するメディアとして、50代でも「YouTube」「Instagram」が主流になってきている点です。インタビューでは、「YouTube」は趣味からニュースまでかなり幅広い情報源となっており、「Instagram」は趣味や志向が同じ人の情報収集や自分のアルバムとして利用している人が目立ちました。

夫婦・パートナーへの満足感が比較的高い世代

夫婦・パートナー関係

「大変満足「どちらかというと満足」という人は、40代で62.0%、50代で56.8%、60代で62.3%でした。「大変満足」だけをみてみると、40代は26.8%、50代は22.2%、60代は20,6%と微減していきます。

注目するのは、50代で「配偶者はいない」という人が18.1%いたことです。50代になると、子どもが成人して夫婦関係を見直したり、病気で他界したり、1990年代の就職氷河期世代などの影響で未婚だったり、また一人の生活を楽しんできたり、さまざまなケースが想定されます。「一人を楽しむ」ことができる人はいいですが、孤立・孤独問題につながる人もいると思われます。日本では、もはや「一人暮らし」といえば、学生や20代ではなく、高齢者が多いのが実情だからです。

自由旅をしたい世代

インタビューから見えてきたこと 例①「旅のデザイン」

予定を決めずに自由な旅をまたしてみたいという人が、インサイト調査でいたため、一部の回答者に直接理由を尋ねると、20代にバックパッカーとして旅をしたり、現在のようなインターネットでの情報がない時代に『地球の歩き方』を片手に格安航空券や安宿を使って世界を旅したりした経験がある人たちが目立ちました。アメリカやヨーロッパだけでなく、アジアなど、自分の知らない世界を知ることを渇望した人たちが旅をしていたことが思い出されます。

年齢を重ね、少し金銭的に余裕ができたことと、体への負担を考慮して少し楽な旅にグレードアップしたいという人もいましたが、旅のスタイルは若いときの「自由旅」であり、「1人旅」を求めている人も目立ちました。その延長線上に、「大人の留学」を考えている人もいました。

「旅のデザイン」は海外だけでなく、国内旅行でも「宿泊先だけ決めて自由な旅をしたい」というニュアンスの人が目立ちました。

ライフシフトで「学び直し」をイメージする50代は、旅を通じて五感で情報を吸収し、学んでいく世代ともいえます。

Getty Images

睡眠を重視する世代

インタビューから見えてきたこと 例②「Well-being」

50代は生活習慣病の発症に注意をしたり、更年期障害に悩んだりする人が多い世代です。食事や運動のほか、睡眠に注意している人が目立ちました。ジムに通ったり、スマートフォンのアプリで歩数などを記録していったり、ゆるやかな糖質制限をしたりする人のほか、ウェルビーイングとして、コミュニケーションや社会参加に気をつけていると人も多くいました。趣味のサークルなど緩やかな人間関係のコミュニティが、ストレスの緩和やオンとオフの切り替えにつながると考えていました。

介護の備えを考えるより、健康でできるだけ長くい続けることを考えようとする世代ともいえます。

Getty Images

少額寄付を続けることに価値を感じる世代

インタビューから見えてきたこと 例③「Social good」

この質問で多かったのが「寄付」です。「寄付」しかしていないのかとも読み取れますが、回答者にインタビューしていくと、「少額でも誰かや社会のために寄付を続けたい」というマインドを持った人たちでした。

この世代は、1998年12月に施行された特定非営利活動促進法によって、NPO法人(特定非営利活動法人)が全国各地にでき、そこにゆるやかにコミットする人たちも増えていった時代を生きてきました。

また、10代後半から20代という活動的な年齢のときに、世界を旅したり、テレビや新聞でさまざまな情報を得たりしてきた世代で、どこか胸の奥でひっかかるものを抱えている人たちなのかもしれません。こうした人たちが、自分に「投資」するだけでなく、一部を「社会還元」したいという気持ちからの行動と思われます。

Getty Images

記事の更新情報はこちらを参考にしてください

*次回からはこのアンケートの各論を連載したり、50sの方々のインタビューの記事を発信していきます。公開のお知らせ等は、「project50s」のLINE公式アカウントで「お友だち」になると公開メッセージなどが届きます。末尾のバナーリンクから「project50s LINE公式アカウント」(@project50s)にお進みください。

みなさんと一緒に“つくる”“考える”“行動する”「project50s」

アラフィフや50sのインサイトにご関心がある方は「朝日新聞社シニア事業部 なかまぁる編集部project50s」にご連絡ください。(お問い合わせフォームは、なかまぁる編集部と共通のため、必ず、「project50sインサイト調査の件」と明記してください)

project50sとは
「project50s」は、アラフィフ、50代にフィーチャーしたプロジェクトです。みなさんと一緒に、人生100年時代の折り返しからの50年を「Well-being&Social Good」な人生にすべく、関心が高いテーマに迫っていきます。

おことわり

本インサイト調査及び分析記事は、本調査の結果をもとに世代の特徴や前後の世代と比較したものです。編集部の知見も含めた分析です。

「project50s」 の一覧へ

「project50s インサイト調査」 の一覧へ

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この特集について

認知症とともにあるウェブメディア