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「フードデリバリー利用しない派」は40代で59%、50代で67%、60代で73% 「利用する派」で目立つ「疲労・体調不良派」「負担軽減派」【project50sインサイト調査】

2024年3月実施のproject50s第2回インサイト調査から抜粋、無断転載厳禁

朝日新聞社の「project50s」が実施した40代、50代、60代の人たちの第2回インサイト調査の結果を読み解いていくと、50代になると「フードデリバリーを利用しない派」が急増することが分かりました。回答者の利用しない理由についての自由記述を読み解いていくと、「エコではない」「テイクアウトする方が運動にもなる」「慢性的なスタッフ不足に協力」といった社会課題派が目立つほか、「コスパが良くない」といった家計派、「近くにコンビニやスーパーがある」といった競合吟味派、「パッケージが味気ない」といった見た目派に分かれました。一方で、「利用している派」は、共働きや体調不良による「食事の準備の負担軽減」が目立ちました。

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「利用する派」で多いのは「ファストフード店」「ピザ店」「すし店」「中華料理店」

シリーズ「project50sインサイト調査」では、「50代の人」の調査結果を隣接する世代と比較して、オープンデータや知見をもとにアラフィフや50代のインサイトを読み解いていきます。

2回インサイトは、2024315日~27日、インターネット調査として行われました。642人からの有効回答がありました。40代が133人、50代が258人、60代が223人でした。約8割が有職者でした。質問のジャンルは、「ダイエット」「食事」「習慣的な運動」「シニア」「親との関係」「介護」「住まい」「趣味・活動」「挑戦」「シングルライフ」といったテーマでお聞きしています。今回は「フードデリバリー」を軸にして、40代、50代、60代のライフスタイルを読み解きます。

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「フードデリバリーで利用する料理のジャンル」を質問したところ、圧倒的に多かったのは、「フードデリバリーを利用しない」人たちでした。回答者に占める割合は、40代で59%、50代で67%、60代で73%でした。年齢層が上がるほど、利用しない派が増えていきます。一方で、子育て世代や共働き世代である40代でも、今回の回答者の中では約6割の人が利用していませんでした。

1人当たりの予算は1000円~1500円未満が中心

「フードデリバリー利用時の1人当たりの予算」を質問すると、1000円~1500円未満が一番多く、次に1500円~2000円未満でした。これは、外食時やファミリーレストラン利用時の1人当たりの予算と同じような傾向を示していました。デフレ経済が続き、実質的な収入がなかなか増えない時代が続いてきた中で、フォードデリバリー利用時の相場観もできあがってきたのかもしれません。その象徴として、「利用する」派で多かった「ピザ店」「ファストフード店」「すし店」は、大衆的でリーズナブルなメニューが並ぶチェーン店を想起させます。

自由記述から読み解く「利用しない派」の類型

ここでは、フードデリバリーを「利用しない派」の理由を、自由記述から類型化し、読み解きます。

社会課題派

  • 便利だとは思うが、総じて価格が高い。おまけに届くのを待たねばならないくらいなら、作る方が早い。このご時世、少なくともフードデリバリーを頼むほど人を招いて自宅で会食をしようなど、そんな危険をおかさない。ゴミもたくさんでるしエコではない。(60代前半、女性、無職)
  • 昔は、気軽に出前を頼める中華店があったが、今のデリバリーは値段が高くなり、自宅にゴミが出るのが嫌なので、来店する。(60代前半、女性、派遣・契約社員)
  • 常にフードデリバリーより、自分で買いに行ってテイクアウトする方が運動にもなるし、慢性的なスタッフ不足のご時世にて、利用者が何か協力できることがあればという思いもあり、高齢者であってもダウンして動けなくならない限り、出前は家族の誰も使わない。パンデミックの時期もこちらから出向いていってました。(60代前半、自営業、女性)

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家計派

  • フードデリバリーはコスパが良くないと感じて利用しない。近くにスーパーやコンビニがあるので自分で買いに行きたい。(50代後半、女性、会社員・公務員)
  • 配達料が割高に感じるので利用したことがありません。(50代前半、男性、会社員・公務員)
  • 子どもが生まれる前は、ピザのデリバリーをよく利用していました。夕飯を作る元気も、食べに行く元気もない、何もしたくないときに、すごく便利でした。正直あまり美味しさや物珍しさ、特別感は求めず、ほどほどの値段、ハズレのない味、距離的にデリバリーしてくれるから、で選んでいました。食べ盛りの男の子をかかえる今は、「ピザなら持ち帰り半額」みたいなものを利用して、出費をおさえています。デリバリーは10年以上利用していません。(40代前半、女性、パートアルバイト)

競合吟味派

  • 以前は利用する事もあったが、徒歩5分圏内に、複数のコンビニと、複数の大規模スーパーがあるので、必要がない。(60代、女性、派遣・契約社員)

見た目派

  • かなり以前は、町中華などの出前をとっていました。何度か、出前をメインとしているお店を利用しましたが、麺類を頼んだとき、玄関前の地面に品物を置き、ポットにスープを入れたりとか、ウーバー系で依頼したときに料理がかなり崩れていたりした経験から、フードデリバリーの使用はあまりしていません。(40代後半、男性、会社員・公務員)
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「利用する」派の類型

 疲労・体調不良派

  • ほとんどは体調が悪かったり、帰宅が遅かったりしたときなど、食事の支度ができないときに利用する。(60代前半、女性、その他(教員))
  • 疲れたとき、どうしてもという機会に利用します。普通の店舗だと割高になるため、結局、ファストフードを利用することが多いです。(50代前半、女性、派遣・契約社員)
  • 私が切羽詰まるほど激務など疲れた状態のとき、見かねて主人がオーダーします。でも、あまり美味しくなくて、私は原則しんどくても作ります。(40代後半、女性、パートアルバイト)

負担軽減派

  • 出かける気力のない日、天気が悪い日、外に出ないで美味しいものが食べれるので少しくらい高くても大変有り難い。(50代前半、女性、パートアルバイト)
  • 外出や食事作りがおっくうなときに手軽で美味しいメニューがあるから利用します。(50代前半、女性、派遣・契約社員)
  • 料理をしたくない日。疲れている日。(50代前半、女性、専業主婦)
  • 妻の食事準備の負担をなくし、外出、趣味に時間を振り向けるため、利用します。(60代後半、男性、無職)
  • 休日の在宅ランチは、楽をしたいから。(40代後半、男性、会社員・公務員)

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アニバーサリー派

  • ピザーラを定期的に頼む。夫と休みが合うときや誕生日などに。(40代後半、女性、会社員・公務員)
  • お正月やクリスマスなどイベントでデリバリーを利用します。予算もあるのでなるべくコスパの良い店舗で注文する事が多いです。クーポンやポイントを利用します。(50代前半、女性、パートアルバイト)

割引クーポン派

  • 家族が食べたいと言ったときに頼みます。割引クーポンがあるときが多いです。(60代前半、女性、自営業)
  • 自宅から近い範囲内に複数の店舗があるので、ポスティングされるチラシを見たりスマホで調べたりして好みと予算に合う品をTel またはスマホから注文利用。選ぶ理由→好みの種類、サイズがあるか/サイドメニュー/値段、割引キャンペーン などを見て。(60代前半、女性、専業主婦)

おいしい料理派

  • 店舗での食事が自宅で食べられるということで、近いエリアの美味しい中華店の料理を家族で食べたく利用しています。(50代後半、男性、会社員・公務員)
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疲れている50代や60代を象徴する「断面」

飲食店の店員が配達する「出前」から、店舗横断的に配達してくれる「フードデリバリー」の時代になりました。プラスの面でみていくと、コロナ禍や在宅勤務の急速な普及によって「おうちごはん」的な利用が増えたほか、個性ある個人経営のレストラン等でもプラットフォームを利用することでデリバリーできるようになったことが大きく影響しています。

今回の調査は、テーマ横断的に40代、50代、60代の方たちに質問した結果なので、フードデリバリーの場合、もっと若い世代は別な傾向を示しているのかもしれません。

マイナスの面でみていくと、自由記述で多かったのは限定された店舗での利用です。ピザ、釜飯、すし、ファストフードといった、幼い子どもがいる家族の定番メニューともいえます。

一方、全体を俯瞰して重要なポイントは、40代~60代のインサイト調査で、回答者の約8割が有職者です。自由記述を読み解いていくと、「利用する派」で一番目立ったのが「疲労・体調不良派」でした。仕事による疲労、またはさまざまな要因による体調不良です。「負担軽減派」も同じように多くいました。裏を返せば、多様な「フードデリバリー」が利用できる時代になり、疲労感がたまっている人にとっては、食事の準備や片付けといった家事労働の負担軽減が容易にできる時代になったともいえます。

人生100年時代で、「元気なうちは働きましょう」と推奨されたり、50代や60代は親の介護も入ってきたり、子どもの大学の学費や生活費の支払いがあったり、疲れている50代や60代を象徴する「断面」の一つなのかもしれません。

次回のテーマは「ダイエット」

次回は、40代、50代、60代のダイエットについて、「project50s2回インサイト調査」の結果をもとに読み解いていきます。

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企画・分析・執筆 岩崎 賢一(いわさき・けんいち)
朝日新聞社 シニア事業部 ビジネスディレクター

朝日新聞社入社後、くらし編集部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部、オピニオン編集部などで記者、及び弊社の「apital」「withnews」「論座」「telling,」など各種webサイトのエディターを経て、現在は「なかまぁる」をベースにミドル・シニア領域で活動。各種webサイトで主に医療や介護の政策と現場をつなぐ記事や暮らしの現場から社会や経済を分析する記事、ストーリー性のある記事を執筆。現在も毎年、数十人のデプスインタビューや関係者のインタビューを繰り返している。これらの知見をベースにwebコンテンツの企画制作や50代を中心としたミドル・シニア世代のインサイト調査をベースにしたコミュニケーションプランの作成や市場分析によるコンサルティングを実施(担当)している。2012年、「プロメテウスの罠」(「病院、奮戦す」担当)で日本新聞協会賞受賞、2015年5月、ドキュメンタリー番組「県境が分けた 置き去りにされた宮城県丸森町筆甫~」でギャラクシー賞奨励賞受賞。

記事の更新情報はこちらを参考にしてください

*次回からはこのアンケートの各論を連載したり、50sの方々のインタビューの記事を発信したりしていきます。公開のお知らせ等は、「project50s」のLINE公式アカウントで「お友だち」になると公開メッセージなどが届きます。末尾のバナーリンクから「project50s LINE公式アカウント」(@project50s)にお進みください。

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