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カフェやファミレス利用の4類型 キーワードは「一人」「在宅勤務」「語り合い」「スイッチ」  突出する和食・日本料理・すし系チョイス【40代~60代インサイト調査・外食編】

2024年3月実施のproject50s第2回インサイト調査から抜粋、無断転載厳禁

朝日新聞社のweb「なかまぁる」のサブブランド「project50s」が実施した40代、50代、60代を対象にした第2回インサイト調査の結果を読み解いていくと、50代や60代の外食スタイルが浮かび上がりました。よく利用する外食先として、カフェ、和食店、ファミリーレストランを選択した人は多くいましたが、居酒屋や喫茶店は少なく、明暗が分かれました。カフェとファミリーレストランの利用目的やシチュエーションは、「一人の時間を求める」「在宅勤務をする」「友だちや家族と語り合う」「スイッチを入れる」の4分類に分けられ、共働きや在宅介護も影響していることが見えてきました。

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今回のテーマは「ダイエット」「食事」「習慣的な運動」「シニア」「親との関係」「介護」「住まい」「趣味・活動」「挑戦」「シングルライフ」

シリーズ「project50sインサイト調査」では、「50代の人」の調査結果を隣接する世代と比較して、オープンデータや知見をもとにアラフィフや50代のインサイトを読み解いていきます。

2回インサイトは、2024315日~27日、インターネット調査として行われました。642人からの有効回答がありました。40代が133人、50代が258人、60代が223人でした。約8割が有職者でした。質問のジャンルは、「ダイエット」「食事」「習慣的な運動」「シニア」「親との関係」「介護」「住まい」「趣味・活動」「挑戦」「シングルライフ」といったテーマでお聞きしています。第2回インサイト調査結果のレポート1回目は、「外食」をテーマに、この世代のライフスタイルやマインドを深掘りしていきます。

今回のインサイト調査に参加された方たちの世帯の形態は、単独世帯(一人暮らし世帯)や夫婦やパートナーのみの世帯(二人暮らし世帯)が、4割強を占めていました。世帯のかたちが40代から50代、60代と大幅に変わっていくことも、外食先に求めることに対して影響していると思われます。

1986年の男女雇用機会均等法(勤労婦人福祉法の改正)や、配偶者控除の引き下げといった法令による環境変化に加え、人口減少社会における生産年齢人口減少対策として積極的に女性や高齢者の就労を促す政策がとられています。健康寿命の延伸もあり、第2回インサイト調査でも、「シニア」のイメージは、50代では65歳以上を選択した人が一番多く、2番目に60歳以上、三番目に70歳以上を選んだ人が多くいました。これは60代でも同じ傾向です。団塊世代が経験した「60歳で定年し、老後生活へ」という昭和時代のこの世代のセカンドライフのイメージは大きく変わってきています。

外食は13週間に1回程度

外食は13週間に1回程度で、50代や60代は40代と違い和食・日本料理・すし系を好む傾向が分かりました。カフェやファミリーレストランは、若い世代や子ども連れ家族が多く利用するという印象を持つ人も多いと思います。ファミリーレストランは、子ども時代に家族で利用した経験を持つ第2次ベビーブーム世代~60代前半の人たちにとってハードルが低く、日常的に利用していることが分かりました。一方で、40代、50代、60代ともに「外食はしない」という人は非常に少ないことも分かりました。

50代の外食で好きな料理は「和食・日本料理系」「すし系」

40代、50代、60代を対象にしたインサイト調査のためか、「外食で好きな料理のジャンル」を質問すると、50代、60代で「和食・日本料理系」が突出して高く、50代は次に「すし系」も多いことが分かりました。40代も他の料理のジャンルとの比較の中では一番多いものの、「すし系」「イタリアン系」と大きな差がありませんでした。50代は、「イタリアン系」「うどん・そば系」「カフェ系」「洋食・西洋料理系」も多く、ジャンルにより大きな差が見られました。

よく利用する外食先は「カフェ」「和食店」「ファミレス」で「居酒屋」「喫茶店」と明暗

一方、「よく利用する外食先」を質問すると、「外食で好きな料理のジャンル」を食べに行く場所は、必ずしも専門店でないことが浮かび上がりました。50代と60代では、メリハリがあることが棒グラフで分かります。

50代で一番多かったのが、「カフェ」です。次に「和食店」が多く、「ファミリーレストラン」「洋食店」「うどん・そば店」「すし店」が続きます。

60代では、「和食店」が圧倒的に多く、次に「洋食店」「うどん・そば店」「ファミリーレストラン」が続きます。

一方、40代で一番多かったのが、「ファミリーレストラン」です。大きな差はないものの、「和食店」「ファストフード店」「洋食店」「すし店」「カフェ」が続きます。

40代は、子どもが幼く、家族で外出したり、食事したりする機会が多いためとみられます。また、どの世代でも「居酒屋」「喫茶店」が低いことが分かりました。

1回の外食で使う費用は1000円台

「外食時の1人当たりの予算」は、40代、50代、60代ともに同じ傾向が見られました。「1000円~1500円未満」が一番多く、次に「1500円~2000円未満」が多かったです。しかし、ファミリーレストランでの「外食時の1人当たりの予算」をみると、「1000円~1500円未満」が突出して多く、この価格帯での利用目的であることが推察されます。

自由記述を分析すると、こうした外食の利用目的やシチュエーションが分かり、「使い分け時代」ともいえる外食スタイルが見えてきました。

自由記述から読み解く:カフェ、ファミレス利用の目的は「一人の時間を求める」「在宅勤務をする」「友だちや家族と語り合う」「スイッチを入れる」

ここでは、「カフェ」と「ファミリーレストラン」の利用目的やシチュエーションを分析してみました。「一人の時間を求める」「在宅勤務をする」「友だちや家族と語り合う」「スイッチを入れる」の4分類で、外食先を選択していることが分かります。特に「一人の時間を求める」「在宅勤務をする」ための店内環境で判断している人が目立ちました。

【参加者募集中】40代~60代のみなさん、プレミアムな体験、非日常的な体験を教えてください 第3project50sインサイト調査

「一人の時間」派

  • 普段の生活をしていたら、ふっと心が萎えてしまう時があります。そんなとき「美味しい物を!」と言ってわざわざ高級店で高い料理をいただかなくてもぜんぜん構いません。ファミレスの料理を美味しくいただいたり、カフェの雰囲気を楽しんだり、カロリー高いけどたまには「いっか」と開き直ってファストフード店へと、気分転換のため利用しています。50代後半、女性、専業主婦)
  • ゆっくり落ち着ける場所であること。読書したりノートで内観したりできるのにある程度のスペース(テーブルの広さなど)があること。騒がしすぎないこと。(50代前半、女性、会社員・公務員)
  • ゆっくり読書したいときや資格の勉強したいときはコメダ珈琲を利用します。ソファの質感と雰囲気が結構好みです。(50代後半、女性、会社員・公務員)
  • 主婦で一人の時間が家であまりないので、気分転換やリラックスするために一人で行って過ごしています。そのため、食事のメニューもですが、居心地の良さ、店員さんの対応の良さを基準に選んでいます。(50代前半、女性、パートアルバイト)
  • やすめそうな場所、かつ 顧客層がおとなしい人々があつまるレストラン。場所にもよりますが、たとえばロイヤルホスト、郊外のマクドナルド、モスバーガー、駅ビル地下の、カフェ、ホテル運営のレストラン。静かめであれば、落着いた雰囲気で、リラックスして、食べれて、食後すこし、読書あるいは電子版で購読している新聞記事を読めるためです。(40代前半、女性、自営業)
  • 一人での昼食で利用します。早く食事が出て来て、食後の時間もゆっくりできるので。あと一人でも入りやすい雰囲気も好き。(50代後半、女性、会社員・公務員)
  • 静かに考えごとができるから。(60代前半、男性、自由業) 

「在宅勤務」派

  • リモートワークのためFree WiFi接続可能なところ。リモートワーク作業歓迎のところ。(50代後半、女性、自由業)
  • 休憩や小規模な仕事ができ、高額ではない。(60代前半、女性、会社員・公務員)
  • コメダ珈琲店…読書、執筆。タリーズコーヒー…執筆。マクドナルド…食事。サイゼリヤ…食事、打ち合わせ。(50代後半、女性、会社員・公務員)

「友だちや家族」派

  • お友だちと会う場所として利用することが多いので、長時間過ごしても迷惑にならない時間帯、場所を考えて選んでいます。(50代前半、女性、専門家)
  • ファミレスは、友だちや家族と食事兼おしゃべりに行くので、選ぶ条件は「待たずに入れる」こと。ファストフード店は、時間調整なら「入れるところ」だが、食事目的のときは「バーガーの味の良いところ」「食材がフレッシュなところ」を選びます。(60代前半、女性、会社員・公務員)
  • カフェやファミレス共に、食事、仲間との懇親、暇つぶしで利用します。店舗選びは、時と場合によりますが、食べたい物があるお店(たまには高級、気兼ねない料金)で、なるべく並ばずに入店できること、おかわりなどが出来ることがお店選びの条件になります。仲間との懇親の場合は、駅から近いことや、目印となる物がある場所の近くなども条件に含まれます。(40代後半、男性、会社員・公務員)
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「スイッチ」派

  • 介護を頑張ってる自分へのご褒美として、お気に入りのカフェでケーキと珈琲。素敵な雑貨に囲まれてゆったり過ごすひとときは「また介護頑張ろー!」と、とても良い気分転換になります。(60代前半、女性、専業主婦)
  • 子育てと介護の合間の休息のため。子の塾の最寄り駅近くのカフェで送迎ついでに寄ることが多い。(50代前半、女性、パートアルバイト)
  • 現在、在宅で仕事をしています。カフェは、子どもの習い事や塾の待ち時間に仕事をする目的でのみ使用します。Wi-Fiが使える、一人でも長居しやすい、割と落ち着いた年代の方が多い(ガチャガチャしていない)などが選択基準です。ファストフード店は、ほぼ100%テイクアウトです。大抵は、「マックのポテトが食べたい!」という衝動にかられるためです。お店で食べるのは朝マックくらいです。何となく金曜日に「子どもの気持ちが疲れてるなー」というときに、テンションを上げるために、前日から予告して、みんなでワクワクしながら眠りにつきます。効果は抜群で、ちょっと早起きして、週末も週明けも楽しい気持ちでいられます。(40代前半、女性、パートアルバイト
  • カフェはモーニングとして利用することが多いです。「今日も一日頑張るぞ!」という気持ちになれます。(40代後半、女性、会社員・公務員) 
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カフェの利用目的の中には、「自分へのご褒美」「癒やし」「リフレッシュ」

ファミレスの利用目的の中には、その時々の生活習慣を反映している自由記述も多くみられました。例えば、子育て中の人です。「ガストは子どもの塾に近い。スターバックスは子どもの学校に近い」(50代後半、女性、会社員・公務員)といったように、子どもの送り迎えのすき間時間などでの利用です。また、期間限定メニューやキャンペーンを目当てに訪れる人もいます。もう一つは「キャンペーンで新メニューをやっているとそれを試そうと思ってます」(50代前半、男性、会社員・公務員)という人たちです。居酒屋メニューやコーヒーの品質向上を評価する声もありました。

一方、カフェの利用目的の中には、「自分へのご褒美」「癒やし」「リフレッシュ」という記述も目立ちました。「カフェはお気に入りの場所として、自分への癒し、ご褒美的な扱いが多い」(50代後半、女性、その他)、「カフェ:散歩がてらのモーニングを利用してのブランチ。娘と休日に、予定を特に入れずのんびり過ごす日として、月イチで行くのを楽しみにしている」(40代後半、女性、会社員・公務員)という人たちです。

インサイト調査以外の要素を推察していくと、「すし系」の外食を利用する人が多い背景には、回転すしチェーン店のファミレス化や、しゃりの少量化も影響している可能性があります。ファミレスでも「少量化」を評価する意見がありました。また、チェーン店のブランドや料理で選ぶのではなく、「静かさ」「客層」を判断材料にしている人も目立ちました。

今回のインサイト調査で分かった「一人利用」「長居できる」「1000円台前半」といったトレンドは、店舗側には厳しいものとなりました。ただ、50代や60代でも、カフェやファミレスを抵抗感なく利用している点や、職業を持つ50代や60代が増えている点は、ビジネスチャンスともいえます。

次回のテーマ

次回は、40代、50代、60代のフードデリバリーの利用状況について、「project50s2回インサイト調査」の結果をもとに読み解いていきます。

【参加者募集中】40代~60代のみなさん、プレミアムな体験、非日常的な体験を教えてください 第3project50sインサイト調査

企画・分析・執筆 岩崎 賢一(いわさき・けんいち)
朝日新聞社入社後、くらし編集部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部、オピニオン編集部などで記者、及び弊社の「apital」「withnews」「論座」「telling,」など各種webサイトのエディターを経て、現在は「なかまぁる」をベースにミドル・シニア領域で活動。各種webサイトで主に医療や介護の政策と現場をつなぐ記事や暮らしの現場から社会や経済を分析する記事、ストーリー性のある記事を執筆。現在も毎年、数十人のデプスインタビューや関係者のインタビューを繰り返している。これらの知見をベースにwebコンテンツの企画制作や50代を中心としたミドル・シニア世代のインサイト調査をベースにしたコミュニケーションプランの作成や市場分析によるコンサルティングを実施(担当)している。2012年、「プロメテウスの罠」(「病院、奮戦す」担当)で日本新聞協会賞受賞、2015年5月、ドキュメンタリー番組「県境が分けた 置き去りにされた宮城県丸森町筆甫~」でギャラクシー賞奨励賞受賞

記事の更新情報はこちらを参考にしてください

*次回からはこのアンケートの各論を連載したり、50sの方々のインタビューの記事を発信したりしていきます。公開のお知らせ等は、「project50s」のLINE公式アカウントで「お友だち」になると公開メッセージなどが届きます。末尾のバナーリンクから「project50s LINE公式アカウント」(@project50s)にお進みください。

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アラフィフや50sのインサイトにご関心がある方は「朝日新聞社シニア事業部 なかまぁる編集部project50s」にご連絡ください。(お問い合わせフォームは、なかまぁる編集部と共通のため、必ず、「project50sインサイト調査の件」と明記してください)

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