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バイオテック侍のシリコンバレー日記

若年性認知症の診断から10日後… 勇気をもらい、ご褒美ビールで乾杯!

ドイツ料理と言えば、ソーセージ!
ドイツ料理と言えば、ソーセージ!

“侍”として米国社会に挑む心意気で2001年に渡米し、バイオテック(製薬)企業でがん研究を中心に新薬開発に努めてきた木下大成さん(55)。カリフォルニア州のシリコンバレーで妻、息子との生活を過ごしてきましたが、数年前から少しずつ見られていた記憶や理解力の低下が顕著になり、思うように働けなくなりました。病院を受診し、検査などを経て2022年10月4日、若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。認知症とともにある人生を歩み始めた木下さんが、当時の写真を見て思い出しながら日々の出来事をつづります。

2022年10月15日、カリフォルニア州のサンノゼで開催された米国アルツハイマー協会主催のウォークイベントに初めて家族で参加しました。
※前回「米国で若年性認知症と診断 アルツハイマーウォークイベントに初めて参加」

左はイベント前。右はイベント後で、こんなにもすがすがしい表情になりました

このような運動イベントに参加すると、いつもだったら疲れてしまって、自宅に帰ってそのまま終わるのが普通ですが、この日はテンションがあがって、イベントのはしごをすることになりました。

フライドポテトやフライドチキンをBBQやトマトクリーム、ブルーチーズなどお好みのソース食べられる揚げ物屋台
フライドポテトやフライドチキンをBBQやトマトクリーム、ブルーチーズなどお好みのソース食べられる揚げ物屋台

自宅に戻って汗を拭いてから、すぐ隣町の少し小粋なダウンタウンに向かいました。目的は、ここ数年、新型コロナウイルスが理由で開催が見送られてきた“Oktoberfest”(オクトーバーフェスト:ドイツ風の秋祭り)。地域の人たちが中心になって、バーべキュービーフやソーセージ、カラッと揚がったポテト、豚腹肉の煮込みなどを出す、かなりパンチの効いた屋台フードが並びます。

妻はオレンジの香りがする軽いビールを味わいました
オクトーバーフェスト名物のりんごサイダー割り地ビール

各種アルコールも楽しむことができます。こういうイベントでは、普通には見られない種類のビールも多く出展されていて、年に一度のことだと思うと、なかなかどれにするか決められません。後ろに並ぶ人たちからのプレッシャーは強まってくるし、でも好きではない味のビールを飲むのは嫌だし、もう大変です。“うれし大変”です。

息子は輪ゴムの射的に夢中
息子は輪ゴムの射的に夢中

福引に輪ゴムの射的など日本でもなじみのある遊びの出店もあり、子どもたちも大喜び。他にも生バンドのロックミュージックやアートの展示販売、地元のナッツやパンプキンパイの出店など、これだけでも丸一日過ごせる楽しいイベントが3日間続きます。家族で丸一日、運動して、そのあとおなかいっぱいにして、最後には、ちょっと自分たちへのご褒美ビールまで楽しみ切った、大忙しの秋の一日でした。

この日は、10月4に若年性アルツハイマー型認知症の診断を受けてから、まだ10日余りでした。様子を見ながら 恐る恐るやっていた 感じでしたが、ウォークイベントに参加したことで、“なるほどこうして集まることで病気に向かっていく 勇気を 高めていくのだな”と思いました。確かに一人で 自室に こもっていたり、病室に 寝ていたりするよりも、 ポジティブに 物事を 考える きっかけ として有効だったかもしれません。

私自身は、生まれ持った性格ゆえに、簡単には ”Oh Yeah! Let’s Go!” とはいきませんが、内に秘めている闘志は健在なので、その闘志をどうやって、もっと分かりやすくポジティブに発露できるか考えていきたいと思いました。

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