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高齢の親だけでの田舎暮らし 災害時の逃げ遅れが心配です【お悩み相談室】

避難所の案内看板、Getty Images
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社会福祉士の熊谷恵津子さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

 Q.高齢の両親が遠方で2人暮らしです。自然に囲まれた地域なので洪水や土砂災害のニュースがあるたびにドキッとしますが、両親は「ここらへんは大丈夫だから」とのんきに構えていて、逃げ遅れるのではないかと心配です(55歳・男性)

A.のんきに構えているくらいが、いいと思います。2人で安心して暮らせている証しですし、2人暮らしの不安を訴えられるほうが家族は大変かもしれません。このため、両親に危機感をもたせたり、不安をあおったりする必要はないと思います。

大事なのは、万が一のときに逃げ遅れなくてすむような環境づくりです。家族がやっておけることとしては、2つあります。1つは「高齢夫婦がここに住んでいる」という情報発信です。帰省したタイミングで、近所の人たちに「高齢の両親が2人だけで住んでいるから、災害が起きたときなどは声をかけてあげてほしい」とお願いしたり、「何かあったときは連絡してほしい」と連絡先を伝えたりしておきましょう。地域包括支援センターに伝えておくことも大事です。

すでに、近所の人たちも、高齢夫婦が住んでいることは把握しているかもしれません。とはいえ、頼まれてもいないのに、いざというときに突然家を訪ねるのは、勇気がいりますよね。家族から一言、事前に頼まれていれば、迷わずに安否確認などができると思います。両親も近所の人から「息子さんから聞いていますよ」と言われると、安心するのではないでしょうか。

もう1つは、帰省したときに両親と一緒に避難場所を確認しておくことです。例えば近所を一緒に歩いていて、避難場所である学校のあたりを通ったときに「ここが災害時の避難場所だね」というように声をかけておきましょう。高齢の人は、知らない場所に対して不安や恐怖を感じやすいところがあります。避難場所を把握していない場合、近所の人に連れ出してもらえたとしても「どこに連れて行かれるんだろう」と不安になるかもしれません。緊急時の避難場所を冷蔵庫などに貼っておくのもいいですね。

遠方に住んでいると、何かあってもすぐに駆け付けられません。だからこそ、万が一に備えた環境づくりが大切です。

【まとめ】田舎に住む高齢の両親。災害時に逃げ遅れるのではないかと心配なときには?

  • 両親に危機感をもたせたり、不安をあおったりする必要はない
  • 近所の人や地域包括支援センターに、高齢夫婦が住んでいることを情報発信しておく
  • 避難場所を両親と一緒に確認しておく

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