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つながる、とは@はちおうじ~BLGの活動報告

長老のご自宅へお見舞いに行った際に

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、東京都八王子市にあるBLG八王子(DAYS BLG!はちおうじ)からの報告です。

こんにちは!
DAYS BLG!はちおうじ(以下、BLG!はちおうじ)スタッフの谷村です。
今回は、メンバーさんたちの「つながり」について書きたいと思います。

BLG!はちおうじの「長老」は、今年87歳を迎える男性のメンバーさんです。
このメンバーさんが、ご自宅近くを散歩中に転んで骨折をしてしまい、しばらくBLG!はちおうじをお休みした後、復帰されたことは、若年性認知症当事者でスタッフのさとうみきさんが、別のコラム「おかえりなさい」で報告してくださいました。

私は、長老の復帰前に、みんなでお見舞いに行ったことを書きたいと思います。
長老がお休みするようになって、しばらくすると
「あれ、あの人来ていないね」
「そういや、どうしているかな」
だんだんとそんな話がメンバーさんたちの間で出てくるようになりました。

骨折したことを伝えたところ、
「きっと家で寂しくしているんじゃないの?」
「それなら、お見舞いに行かないとね」
「いいね、俺も行く!」
そうして、ご自宅までみんなでお見舞いに行くことになりました。

ご自宅に到着すると、少し元気の無さそうな長老が玄関から出てきました。
歩き方も以前とは違ってかなりゆっくりになっています。でも、メンバーさんたちの顔を見ると、パッと表情が明るくなりました。
「久しぶりだね〜!」
「懐かしや、懐かしや」
「元気だった??」
そうして、リハビリも兼ねて近くの公園まで歩きました。

帰り際に、長老は「俺も連れて行ってくれよ〜」と本当に残念そうに言いました。
みんな泣く泣く、「早く元気になってね!」「次はBLGで!」と言って別れました。

数週間後、長老は無事にBLGに戻ってきました。
その姿を見たメンバーさんたちがすぐに駆け寄り、喜んだり肩をもんだり。
「久しぶりだね〜」
「元気でよかった!」
本当にうれしそうな様子でした。

おかえり!

長老の奥様によると、
「すっかり元気がなかったんですが、あのお見舞いで元気になったんです!お陰様で!」
とのこと。
仲間が待っているから頑張ろう、そう思ったのかもしれません。
仲間の力は人を強くし、前へ進む後押しになる。
メンバーさんたちのつながりを感じた出来事でした。

普段から、「最近あの人、元気ないよね?」「そういや、今日はあの人、いないね」と他のメンバーさんを気遣う言葉をよく聞きます。

「俺、忘れちゃって、どうしようもないんだよ……」
「大丈夫、俺なんか振り向いたら忘れちゃうから!」
と、認知症の後輩を先輩が励ます場面も。次の日には、昨日励まされていた人が、励ます側になっていることもよくあります。

ちょっとしたいざこざや喧嘩が起きても、近くにいたメンバーさんがさっと間に入って、「仲良くしよう!ね、仲良くしよう!」と止めに入ります。

認知症と共に生きる仲間として、メンバーさんたちは今日もつながりの中で暮らしています。

今年2月、八王子市内の片倉城址公園へ行った際、山道を助け合って登るメンバーさんたちの姿

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