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困りごとのトップは「費用」 高齢期の住まいどうする? アンケート結果

住宅街

高齢になっても自由に過ごしたい。けれど、費用は心配――。なかまぁる編集部が行った「高齢期の住まいに関するアンケート」の回答からは、そんな理想と現実が浮き彫りになりました。
また、高齢期の住まいに関して家族と「話し合ったことはない」と「ほとんど話し合ったことはない」を合わせると6割超に達し、話し合いも進んでいないようです。
住み替えるにしても、施設などに入所するにしても、費用の面での心配も尽きません。
このアンケートの結果をもとに、高齢期の住まいについて真剣に考えてみませんか。
アンケートは昨年12月4日~今年1月3日に実施し、327人の方から回答をいただきました。集計結果をご報告します。

自身の高齢期の住まいについて「家族(配偶者、子ども等)と話し合ったことはありますか?」という問いに対しては「ほとんど話し合ったことはない」(36%)、「話し合ったことがない」(29%)という回答が多く寄せられました。これらを合わせると65%に達します。高齢期の住まいについて、多くの人が家族と十分な話し合いができていないようです。
「話し合ったことがある」は25%、「よく話し合っている」は10%にとどまりました。話し合ったことがある方々に、きっかけについて自由に記入してもらったところ、「親の施設入所」や「子どもの独立」「自宅のリフォーム」を挙げた人が複数いました。

「高齢期に過ごしたい場所」を尋ねたところ、過半数は「現在暮らしている住宅」。次いで多かったのは「便利な場所に住み替えた後の住宅」は2割超でした(%は、小数点以下を四捨五入しています)【高齢期に過ごしたい場所はどこですか?】現在暮らしている住宅53%、便利な場所に住み替えた後の住宅23%、老人ホームなどの施設8%、サービス付き高齢者住宅7%、シニア向け分譲マンション3%、子どもとの同居2%、その他4%(%は、小数点以下を四捨五入しています)
高齢期に過ごしたい場所を尋ねたところ、過半数は「現在暮らしている住宅」。次いで多かったのは「便利な場所に住み替えた後の住宅」は2割超でした(%は、小数点以下を四捨五入しています)

「高齢期に過ごしたい場所」を尋ねたところ、過半数が「現在暮らしている住宅」との回答でした。全回答者のうち「持ち家」に住んでいる人が79%だったことも、今の住宅に暮らし続けたい一因かもしれません。次いで多かったのは「便利な場所に住み替えた後の住宅」の2割超でした。
「老人ホームなどの施設」(8%)、「サービス付き高齢者住宅」(7%)、「シニア向け分譲マンション」(3%)を望む人は少数派で、「子どもとの同居」を希望したのは2%のみでした。
上記の質問への回答で「老人ホームなどの施設」と答えた人に、より具体的に施設の種別を聞いたところ、多かったのは「介護付き有料老人ホーム」が6割超。あとは「介護老人保健施設」「ケアハウス(経費老人ホーム)」「特別養護老人ホーム」「介護医療院」がそれぞれ4%で、分け合いました。「決めていない」という人も8%いました。

最も重視したのは「行動の自由さ」4割超

高齢になっても行動を縛られたくない――。高齢期の住まいで最も重視することに「行動の自由さ」を挙げた人が約4割に達しました。次いで多かったのは「費用面」(21%)でした。【過ごしたい場所で最も重視したことは?】行動の自由さ38%、費用面21%、介護サービス13%、医療サービス8%、バリアフリーなどの住環境7%、プライバシーの確保6%、その他7%(%は、小数点以下を四捨五入しています)
高齢になっても行動を縛られたくない――。高齢期の住まいで最も重視することに「行動の自由さ」を挙げた人が約4割に達しました。次いで多かったのは「費用面」(21%)でした。

「高齢期に過ごしたい場所」に関して、選ぶ際に最も重視したことを聞いたところ、最多は「行動の自由さ」で約4割に達しました。高齢期になっても行動を縛られなくない、という思いの表れでしょう。その次に多かったのは「費用面」(21%)で、現実を踏まえて、高齢期に過ごしたい場所を選んだ様子もうかがえます。「介護サービス」(13%)、「医療サービス」(8%)、「バリアフリーなどの住環境」(7%)といった加齢に伴って必要となるサービスや施設面を重視したという回答もありました。

準備「何もしていない」が多い一方で「資金をためている」人も

準備を「何もしていない」が多い一方で、「資金をためている」人も。【今、準備していることは?(複数回答)】何もしていない170、資金をためている92、家族と相談49、HPや書籍で情報収集38、施設に資料請求12、専門の相談窓口に相談3、その他15
準備を「何もしていない」が多い一方で、「資金をためている」人も

高齢期に過ごしたい場所で暮らすために「今、準備していること」を複数回答で答えてもらいました。最も多かったのは「何もしていない」(回答数170)でした。ただし、先の回答で「現在、暮らしている住宅」で暮らし続けることを望む人が多かったため、こうした人は、準備をする必要がないと考えている可能性もありそうです。
一方で、「資金をためている」という答えも92ありました。このように答えた人に「ためている額」を尋ねたところ、「1千万~3千万円」(19)、「3千万円以上」と「500万~1千万円程度」がそれぞれ15、「100万円程度まで」(13)、「100万~300万円程度」(9)、「300万~500万円程度」(4)でした。「答えたくない」(9)という回答もありました。

困りごとは「費用」に関することが断トツの多さ

困りごとは「費用」に関することが断トツの多さ。「どれくらいかかるのか分からない」(145)、「必要な費用が準備できるか分からない」(128)【困っていることは?(複数回答)】どれくらい費用がかかるか分からない145、必要な費用が準備できるか分からない128、ホームや施設のサービスの違いが分からない89、困っていることはない71、どのような手続きが必要か分からない59、近くに適切な施設などがない31、現在の家の処分の仕方29、その他22
困りごとは「費用」に関することが断トツの多さ。「どれくらいかかるのか分からない」(145)、「必要な費用が準備できるか分からない」(128)

高齢期の住まいについて考える際に「困っていることは?」(複数回答)との問いに対しては、「どれくらい費用がかかるのか分からない」(回答数145)、「必要な費用が準備できるか分からない」(128)という「費用」に関することが1位、2位を占め、断トツの多さとなりました。
そのほかでは「それぞれのホームや施設のサービスの違いが分からない」(89)、「どのような手続きが必要か分からない」(59)、「現在住んでいる場所の近くに適切なホームや施設などがない」(31)、「現在の家の処分の仕方が分からない」(29)という回答が続きました。「困っていることはない」という回答は71でした。

これまでは、回答者自身について尋ねてきましたが、「実親に高齢期に過ごしてもらいたい場所」についても聞きました。やはり「現在、実親が暮らしている住宅」(36%)が最も多く、続いて「各種老人ホームなどの施設」(11%)、「便利な場所へ住み替えた後の住宅」(9%)、「サービス付き高齢者向け住宅」(6%)、「子どもとの同居」(5%)、「シニア向け分譲住宅」(2%)、「その他」(1%)といった結果になりました。3割の人は「実親がいない」とのことでした。

今回のアンケートの回答者の年齢に関しては、多かった順に55~64歳(32%)、65~74歳(24%)、45~54歳(18%)、75~84歳(11%)、35~44歳(10%)、25~34歳(4%)、24歳以下(2%)となりました。

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