家事をしない父と介助が必要な母 二人だけで生活できる?【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
社会福祉士の川島豊輝さんが、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.母(76歳)が骨折して入院していた間、一人暮らしになった父(77歳)。母の見舞い帰りに実家に寄ったら、洗濯物や食器の洗い物が放置されていました。母が退院してもしばらくは介助が必要だと思いますが、私は離れた場所に住んでいるので2人で生活できるのか心配です(52歳・男性)
A.家事を担っていたお母さんが、病気やケガでできなくなり、お父さんがやることになるといったケースはよくあります。そうした様子をみてきて感じるのですが、日常的に家事をしてこなかった人は、家事をためこみやすいんですよね。一週間くらいためこんで、まとめてやろうと思っている場合もあるようです。相談者が実家に寄ったときも、お父さんはあとでやろうと思っていたのかもしれないですよね。まして今は一人暮らしですから、誰の目を気にすることもなく、自分のペースでやろうとしている可能性はないでしょうか。
もちろん、本当に家事ができない、全くやるつもりがないといったケースもあります。どちらのケースなのかは、相談者が見極める必要があります。自分のためだけに家事をする気にはならないけれど、誰かのためならできることもあるので、お母さんの退院後は、意外としっかり家事をするかもしれません。いずれにしてもお母さんが退院して1~2週間様子をみるといいと思います。
退院後もお父さんが家事をせず、2人の生活に困るようなら、介護保険サービスの訪問介護や地域の住民による自主的な支援、福祉サービスなどを利用して生活の援助をしてもらうことが大事です。こうした、同居家族などがいる場合の生活支援サービスについては、今のうちに調べておくといいと思います。介護保険が適用されない場合の費用の見積もりをたてると、お父さんも「自分でやろう」という気になるかもしれません。
お父さんが家事をしない場合、認知機能面に問題が生じている可能性もあると思います。その点にも注意してお父さんの様子をみてください。
お父さんが少しでも家事をやっていたら、そのことをぜひたたえてほしいと思います。できないことを指摘されるより、できていくことをほめられると、お父さんが家事を続けるモチベーションになるはずです。
【まとめ】母が骨折して入院中、洗濯物や食器の洗い物を放置している父。退院後の2人の生活が心配なときには?
- 家事が本当にできないのか、まとめて一気にやるつもりなのか、お母さんが戻ればできるのか、お母さんの退院後のお父さんの様子を見て判断する
- お母さんの退院後もお父さんが家事をしないのであれば、お母さんに対して、同居家族などがいる場合の介護保険サービス(訪問介護など)や、介護保険以外のサービスを検討する
- お父さんが家事をしない場合、認知機能に問題がないかどうか注意して、様子をみる