介護施設の情報発信の功罪 「無知」対「説明不足」 個人情報守るには
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
周りに秘密にしている、夫の施設通い。
なんで近所の人が知っているの?
「ネットに夫の写真が出ている」って、
どういうこと?
混乱したまま、
夫が通う施設に駆け込んだ。
けれど担当者は
「ブログ」を理解していない私の落ち度
と言わんばかり。
私は、ネットもブログもわからない。
あるのは、施設への信頼だけだった。
これって、私の無知のせいなの?
今では多くの介護施設が、
その日常や明るい取り組みを
ブログやSNSで発信しています。
その尽力のおかげで、
介護や認知症への暗いイメージが、
どれだけ払拭(ふっしょく)されたかわかりません。
ただ、一方で弊害も聞くようになりました。
個人情報漏洩(ろうえい)の問題です。
利用者情報をインターネットで掲載する場合、
本人や家族に了解を得ることはもちろんですが、
その危険性は説明していない施設もあるようです。
「この施設に通っている」という情報が掲載されることはつまり、
居住地や要介護度などの個人的な情報が、
世界中誰からも知られやすくなる、
ということ。
SNSが身近にある世代なら当然の理解でも、
なじみのない高齢者の方々にとっては、
未知の恐怖ではないでしょうか。
また、通所していることを隠している方もいますが、
施設側がその細やかな心情を把握していない場合もあります。
大まかに了解を頂いているから掲載OK、
では決して済まされない、
危険性をはらんだインターネットです。
双方にとって、安全な使い道を探したいものです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》