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今日は晴天、ぼけ日和

介護施設の情報発信の功罪 「無知」対「説明不足」 個人情報守るには

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

「お宅のご主人、○○の施設に通ってるのね。息子がネットで見たって」

周りに秘密にしている、夫の施設通い。

なんで近所の人が知っているの?

「ネットに夫の写真が出ている」って、
どういうこと?

「私、奥さんに写真掲載の確認頂きましたよね? うちのブログにのせる前にちゃんと!」今更、知らなかったって

混乱したまま、
夫が通う施設に駆け込んだ。

けれど担当者は
「ブログ」を理解していない私の落ち度

と言わんばかり。

○○施設のブログ 採れたての大根を抱えて、ご満悦のAさん(86)

私は、ネットもブログもわからない。

あるのは、施設への信頼だけだった。

これって、私の無知のせいなの?

今では多くの介護施設が、
その日常や明るい取り組みを
ブログやSNSで発信しています。

その尽力のおかげで、
介護や認知症への暗いイメージが、
どれだけ払拭(ふっしょく)されたかわかりません。

ただ、一方で弊害も聞くようになりました。
個人情報漏洩(ろうえい)の問題です。


利用者情報をインターネットで掲載する場合、
本人や家族に了解を得ることはもちろんですが、
その危険性は説明していない施設もあるようです。

「この施設に通っている」という情報が掲載されることはつまり、

居住地や要介護度などの個人的な情報が、
世界中誰からも知られやすくなる、
ということ。

SNSが身近にある世代なら当然の理解でも、
なじみのない高齢者の方々にとっては、
未知の恐怖ではないでしょうか。

また、通所していることを隠している方もいますが、
施設側がその細やかな心情を把握していない場合もあります。


大まかに了解を頂いているから掲載OK、
では決して済まされない、
危険性をはらんだインターネットです。

双方にとって、安全な使い道を探したいものです。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

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