【お知らせ】「これから会議」で認知症カフェの共通理念を考える取り組みを始めます
なかまぁる編集部
なかまぁるでは、日本の認知症カフェの共通理念について、みなさまと考えていく取り組みを始めます。
その議論の素材として、動画連載「コッシーのカフェ散歩」でもおなじみのコスガ聡一さんが、カフェ関係者(認知症カフェ、ケアラーズカフェ、コミュニティーカフェなど)に、各カフェの哲学やモットー、不文律などについてインタビューを行います。
そして、インタビューの様子を録画した動画を順次、Facebook上で設けているコミュニティーグループ「認知症カフェ これから会議」(以下、「これから会議」)の場で公開していきます。初回の動画投稿は8月22日を予定しています。
SNS上ではありますが、認知症カフェのあり方について、活発な議論が行われることを期待しています。みなさまも是非、「これから会議」での新たな取り組みにご参加ください。
*コミュニティーグループへの参加を希望される方は「これから会議」で「グループに参加」のボタンを押すことで申請をお願いします。順に承認をさせていただきます。少しお時間を頂くこともありますが、ご了承下さい。
コスガ聡一さんの話
目指すことや狙いについて
新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態に全国の認知症カフェは大きな影響を受けています。昨年、1度目の緊急事態宣言下においてほとんどのカフェが活動休止に追い込まれるなか、なかまぁるではFacebook上にカフェ関係者が語り合うコミュニティーグループ「これから会議」を立ち上げ、今年3月までに計8回のオンラインシンポジウムを開催してきました。カフェ主催者、当事者、メディア、行政などさまざまな立場の登壇者と参加者が、いま自分たちにできること、認知症カフェのあるべき姿などについて活発に議論しました。その動画は、「これから会議」のコミュニティーグループに参加することでいつでも見ることができるようになっています。
そんな「これから会議」のオンラインシンポジウムのフィナーレとなる第8回の終盤、複数の登壇者からまさに認知症カフェの「これから」に関する意見が出されました。「認知症カフェのベースラインを担保する取り組み」(「八王子ケアラーズカフェわたぼうしの中村真理さん)や「共通の基本理念」(オレンジカフェKIMAMAの岩瀬はるみさん)を求める声です。
実は2012年に厚生労働省が発表した「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」で「認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集う場」として認知症カフェが登場しましたが、認知症カフェが認知症カフェである条件について具体的で公的な指針などは示されていません。これは新事業のスタートアップに際して、草の根レベルの自主性が大切にされたためだと思われます。結果として今年度までに全国8000カ所以上の様々な認知症カフェが誕生し、他国に類例のない水準にまで成長しました。日本の認知症カフェが「自主性」と「多様性」を特徴とする取り組みになったのにはこのような経緯があります。
「これから会議」で主体や対象、規模、開催間隔などが異なる多様なカフェの関係者が集まり対話を重ねる中で、「共通理念」を求める声が出てきたというのは大変有意義なことです。もし同じことを政府や行政組織が言い出したなら、日本の認知症カフェの美点である「自主性」は大きく損なわれたかもしれません。
「自主性」と「多様性」を大切に
認知症カフェの「共通理念」確立を目指すうえで、「自主性」と「多様性」の尊重は約束されなければならないと考えます。自分たちのことは自分たちで決めるという原則を踏まえつつ、できるだけ多くのカフェ関係者の参加を募り、それぞれの哲学やモットー、不文律などを共有していく過程を経ることが大切です。このためには、あらかじめ正解を決めつけず、結果の受け入れも強要しないという姿勢で議論を進めてきたいと思います。
以後、目指すべき着地点を「認知症カフェ憲章」と呼びますが、現時点では(仮称)と付記したいと考えます。対話を繰り返す中で、それを「憲章」と呼ぶべきか「宣言」と呼ぶべきか、あるいは「約束」、「ルール」など全く別の名前がふさわしいものになるかが見えてくるでしょう。あらゆる事柄を決めつけず、留保しながら、共通理念を探る対話を静かに開始したいと思います。
インタビュー動画を順次、公開
具体的には20人ほどのカフェ関係者(認知症カフェ、ケアラーズカフェ、コミュニティーカフェなど)に、わたくしが1人ずつインタビューを行い、その様子を、動画で公開していきます。そこでは5点にまとめられた各カフェの哲学、モットー、不文律などについて語り合っていく予定です。そして複数の対話の重なりの中からおのずと見えてくるであろう「最大公約数」をコンセンサスとしてまとめ、来春をめどに開催予定のオープンなシンポジウムの場で再び議論し、採択を目指します(結果として採択されないという着地点もあるかもしれません)。この一連の過程におけるわたくしの役割は「触媒」のようなものになると心得ています。
日本の認知症カフェは始まりから10年を目前に新たなステージへ進もうとしています。ぜひ多くのみなさまが「認知症カフェ憲章(仮称)への道のり」をともにしてくださることを期待します。